【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ四】 (ページ8)

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時には昔の話を⑧ ページ8

「先生の反応が面白いので、つい」

平然と言ってのける鬼灯に、Aは『うーん…』と頭を抱えた。
ヤンチャなお子さんが居るご家庭のお母さんって、こんな気持ちだろうか？なんて思ってしまう。

自分のことをお母さんっぽいと言うと「違います(将来的に)私のお嫁さんです！」と鬼灯が怒るので、あまり言わないようにしているけれど。

『もう…いつか恩師になる方なんだから、あんまり失礼なことしちゃダメだよ？』

「恩師…」

Aの言葉に、鬼灯は強面の自分の担任を思い浮かべる。

『いつか、先生の元で教わって良かったなって思う日がきっと来るよ』

「…そうでしょうか」

まさか、自分の恩師を第二補佐官に任命することになるなんて、この時の鬼灯は思ってもみなかっただろう。

「では、行って参ります」

『うん。行ってらっしゃい』

Aが家に居る日は、鬼灯が教え処に行くのを手を振って見送ってくれる。
逆の時もあるし、何なら2人で途中まで一緒に歩いて行くこともあった。

勿論、Aが仕事で遅くなった日もあった。

『ただいま～』

「…おかえりなさい」

そう言って出迎えてくれた鬼灯は、彼女が無事に帰って来たことに少し安堵した様子だった。

遅くなったから、心配かけちゃったかな？と、Aは思う。

『ごめんね。お仕事長引いちゃって…』
あと、イザナミさんの愚痴大会が始まっちゃって…

「お疲れ様でした」

苦笑したAに鬼灯はそう声をかけると、彼女の荷物を受け取りながら、
「Aさんお腹空いてますか？」と聞いた。

『え？うん…って、あぁっ！夕ご飯…どうしよ…う…』

慌てて叫んだAは、食卓の上を見て目を見開いた。
その上には、美味しそうな料理が綺麗に並べられている。

『…これ、鬼灯君が作ったの？』

「はい」

何でも出来る子だと思ってたけど、この前少し教えただけでこんなに上手に作れるなんて…

と、Aは少し感動していた。
何なら、自分が作る料理よりも美味しそうだ。

2人で食卓に着いて、「いただきます」と挨拶をして、手を合わせる。
こうして一緒に食事をするようになって、お互いの好きなものとか、苦手なものを知ることができた。

『(鬼灯君、わりと何でも食べるけど…辛い物が苦手って知った時はビックリしたなぁ～…)』

以前、頂いた唐辛子を料理に使ったら、一口食べた後に口元を押さえて黙り込んでしまった鬼灯を思い出して、ちょっと可愛かったな…と、Aは少しだけ微笑んだ。