【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ四】 (ページ43)

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注文の多い地獄軒② ページ43

「あとは、最近シロさんたちが仲が良すぎてダラケ気味なので、新たに動物獄卒を募って競争意識を高めようかと」

『仲が良いのは、別に悪いことじゃないと思うけどな…』

なんたって、桃太郎と旅をして鬼退治をして、ずーっと一緒に居て助け合ってきた3匹だ。
桃太郎ブラザーズとまとめて呼ばれる彼らだからこそ、発揮できているチームワークもある。

まあ、それで仕事中にお喋りしてしまっているのも事実なのだが。

さらに動物獄卒と言っても、既に鬼灯の案で様々な動物(UMAとかも含む)が地獄に勤めている。
その為、新規に募集をかけるほど困ってはいないはず…
と、Aはまた首を傾げた。

「犬が対抗意識を燃やす相手…つまり、猫です」

そしてそれは、恐らく猫側にも言えることだ。
という鬼灯の言葉に、なるほど…と納得しかけて、

『その、犬vs猫みたいな関係図って、いつからあるんだろうね？』

Aは前々から思っていた疑問を口にした。

『"犬猿の仲"って諺はあるけど、"犬猫の仲"みたいな諺はないよね』
ああでも、海外ではそれにあたる言葉があるんだっけ…

犬と猫は不仲、という認識は万国共通なのかもしれない…なんて、Aは思った。

勿論、育った環境にもよる為、小さい頃から一緒に暮らしてきて仲の良い犬猫も世の中には居たりするけれど。
あとはよく、人間が犬派と猫派で争ったりもしている。

『(どっちも、それぞれに良い所があるのになぁ…)』

ちなみに、そんなAは鳥派、鬼灯は金魚派である。

「現世でも、職場にライバルが居た方が「あいつには負けたくない」という気持ちで、仕事が捗ったりするでしょう？」
まあ少々、人間関係のいざこざはあるかもしれませんが。

そう言った鬼灯に対して、Aは真剣な顔で述べる。

『鬼灯君、職場の人間関係ってすごく大事だよ？』

それは、不喜処の動物獄卒たちも同じだと。
職場の環境変化で、人間関係…じゃなく、動物関係が悪化するのは望ましくない、と彼女は言いたいらしい。

「……それはそうですが」

『鬼灯君の案が間違ってたことはないけど、皆に無理のない程度にね？』
勿論、ちゃんと信頼しているから、こうして任せているのだけど。
と、呟いてAは彼に微笑みかける。

「はい。さっそくですが、この案を形にしてシュミレーションをしてみようかと思います」

こうして、鬼灯の案で"注文の多い料理店風な地獄"が生み出されたのであった。