【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ四】 (ページ40)

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地獄にもハロウィンはあるのです！⑬ ページ40

『い、今のっ…』

ほんのり、飴の香りがしたな…
なんて思ってしまい、余計恥ずかしくなったAは真っ赤になったまま俯いた。

「林檎みたいですね」

そう言って抱きしめられて、頭を撫でられる。

『鬼灯君のせいでしょっ…！』

「そういえば、アメリカではハロウィンに、水を張ったタライに林檎を浮かべて、手を使わずに口で取るゲームをやったりするらしいですよ」

『…アップルボビングのこと？』
私も、本で読んだくらいの知識しかないけど…とAは呟いた。
昔は、恋占いのゲームだったらしい。

「別に恋占いとかしなくても、自力で恋路を切り開けば良いと思いますけどね」

平然と言ってのける鬼灯に、

『もー！女の子はそういうおまじない的なの、結構大事にしてるんだよ？』

と彼を見上げて、Aは訴える。

「おまじない…ですか。間違っても、呪いのほうには行かないで欲しいですが」

『……その割に鬼灯君、呪いグッズ集めてるよね…』

呪われたモノとか、呪術に使われたモノとか。
あんまり危険なものには手を出さないで欲しいんだけどな…

そう思いながら、彼女は鬼灯をじっと見つめた。
まあ、そういうのも跳ね除けてしまうのが、彼の凄いところなのだが。

『あ、そうだ…』
ふと、思いついたように小さく呟くと、Aは鬼灯に向かって手を差し伸べて言った。

『鬼灯君、Trick or Treat！』

「……」

今度は彼が驚いたように、目の前に差し出されたAの手を見つめている。

『お菓子、持ってないの？』

「…持ってませんね」

『じゃあ、悪戯しても良いよね』

Aはそう言うと、背伸びをして鬼灯にキスを送った。

『ふふ、さっきのお返し』
あれ？でもこれ悪戯って言えるのかな。
ちょっと違うような…？

と少し照れたように微笑んでから首を傾げた彼女の前で、

「……恐ろしい魔女ですね」
世界が滅びるレベルですよこれは…

鬼灯は頭を抱えて唸る。

『なんで！？』

「(ただでさえ魔女の格好をしているのに、誘惑してくるとか…卑怯ですよ…)」と、彼は内心で呟いたのだった。