地獄にもハロウィンはあるのです！�� ページ37
『ごめんね？桃太郎君。お仕事中なのに…』
「いえ…正式には仕事じゃないというか…」
Aに謝罪されて、桃太郎は慌てた。
先程鬼灯が言っていた通りなのだから、彼女が謝る必要は全くないのだ。
「仕事じゃないの？」
先に行かずに残っていたシロが首を傾げる。
頼むシロ、察してくれ…！！と桃太郎は思った。
「えっと…白澤様も、ハロウィンを楽しみたかったみたいで」
とりあえず濁しておいた。まあ、間違ってはいない。
それをどう捉えたのか、Aは少し考えた後、
『白澤君、はい！ハッピーハロウィン！』
いまだ鬼灯と睨み合っている白澤に、可愛らしくラッピングされたカボチャのクッキーを差し出した。
「え、」
『本当はTrick or Treatって言われてから渡してるんだけど…今回は特別』
驚いて目を見開く白澤に、『ちょっとはハロウィンっぽいでしょ？』と彼女は微笑みかけた。
『私とお香ちゃんで作ったから、味は保証するよ？』
「…！！」
Aちゃんと、お香ちゃんの手作りクッキー！？
何やら感動しながら受け取った白澤は、大事そうにクッキーが入った袋を掲げる。
「謝謝！！食べないで一生大切に飾っておくよ〜」
「いやカビ生えるだろっ！？」
すかさず桃太郎がツッコミを入れた。
『あはは…ちゃんと早めに食べてね？』
「また貴女は勝手に…」
口を挟む余地がなかった…と鬼灯は頭を抱える。
そんな彼をよそに、Aは桃太郎にも同じようにクッキーをあげていた。
「え、俺もいいんですか？」
『勿論！』
「良かったね桃太郎！」
シロにそう言われて、嬉しい反面、「イヤでも鬼灯さん的には良くないんじゃ…」と桃太郎は彼の様子を伺った。
当の鬼灯はというと、
「A…」
『なあに？』
彼女の名を呼んで、何か伝えようとして…
「………そろそろ行かないと、小学校への到着が遅れてしまいますよ」
言っても無駄だな…と思ったのか、その言葉を飲み込んで、それだけを伝えた。
『あっ、そうだった！』
小学校の皆が待ってるんだった。
「大変だ！A様いないと始まんないよ〜」
シロに早く早く！と急かされて、Aは桃源郷師弟に別れを告げる。
『じゃあ、私たちは行くね』
そう言って手を振りながら歩き出したAの後ろを、シロがついて行った。
「白澤様、桃太郎っ、またね〜！」
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年10月1日 6時
