【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ四】 (ページ36)

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地獄にもハロウィンはあるのです！⑨ ページ36

さて、賽の河原でのお菓子配りもひと段落し、
一行は少しの休憩後、今度は焦熱小学校に向けて移動を開始した。

その道中、

「あっ！Aちゃーん！」

とある神獣の声に呼び止められて、Aはそちらを振り返った。

『あれ？白澤君どうしたの？』
桃太郎君も…と首を傾げる彼女に、白澤は笑顔で返す。

「あーウン、ちょっと仕事でねー」

この男、A様に向かって普通にサラッと嘘ついたぞ…
と、隣に居た桃太郎は思った。

「(まあでも、地獄までハロウィンで仮装した女の子たちを眺めに来てたとか、言えないよな…)」

「桃源郷にハロウィンがないなら地獄まで行こう！花街の女の子たちなら絶対に仮装してるし！」と豪語した白澤に強制的に連れてこられて若干疲れ気味の桃太郎に、シロと柿助が気がついて声をかけた。

「あ、桃太郎だ！ハッピーハロウィン！」
「おつかれー」

「ああ、ハッピーハロウィン…って、お前らも仮装して参加してるのか？……ルリオはそれ、どうしたんだ？」

「…聞かないでくれ」

布をかぶった状態のルリオから何かを察したのか、

「ああ…なんかゴメンな…」
突っ込んじゃいけないやつだった…と桃太郎は謝罪を口にした。

一方白澤は、
「その格好、めちゃくちゃ可愛いねー！」

と言いながらAに近づいて、彼女の手を握ろうとして、

「後で一緒に写真撮ろ……ギャッ！？」

物凄い勢いで振り下ろされたハエたたきに、頭を殴られていた。

「ああ、すみません虫が居たもので」

「～～っ嘘つくな！！絶対わざとだろ！？」

平然と言ってのけた鬼灯に、白澤が「ふざけるなよこの闇鬼神！」と噛み付く。

「(この場合、虫って白澤様のことなんじゃ……ホント、懲りないよな…)」
鬼灯さん、あのハエたたきどっから出したんだろ…

頭を押さえている白澤の横で、桃太郎は引き攣った笑みを浮かべた。

「だいたい何でお前までハロウィンに参加してるんだよっ」
悪戯の権化みたいなくせに！何だよそのハエたたき！めっちゃ痛い！

鬼灯を指さして、白澤が叫ぶ。

「害虫駆除用ですよ。貴方こそ、何故ここに居るんです？まあ大方、衆合地獄の花街で仮装している女性たち目当てでしょうけど」

「(うわ、当たってる…)」

言い当てられて押し黙った白澤の代わりに、桃太郎は内心で呟いた。

『もう、また喧嘩してる……皆、先に行ってて良いよ？』

Aは自分の後ろで戸惑っている一行を振り返ってそう伝えると、小さくため息をついたのだった。