【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ四】 (ページ4)

今日:21 hit、昨日:15 hit、合計:37,266 hit

時には昔の話を④ ページ4

「また、会いに来てもよろしいですか」

『うん！』

帰り際にそう言った鬼灯に、Aは嬉しそうに頷いた。

こうして、この日からしばらく、小さな子鬼はAに会いに彼女の自宅に通うことになったのだった。

──少し場面は変わり、現在の閻魔殿。

『この間に、実は白澤君にも出会ったりして…』

「へぇー！A様、そんな前から白澤様にも会ってたんだね～」

シロがすごいやー！と尻尾を振る。

『まあ、この話をすると、鬼灯君は物凄く嫌そうな顔するんだけど…』

と彼女が呟くと、案の定、そばに居る鬼灯はめちゃくちゃ嫌そうな顔をしていた。

「私の知らぬ間にあの男がAに会っていたのかと思うと、腸(はらわた)が煮えくり返ります」

しかも詳しく話を聞いたら、あの神獣、あろう事か彼女に「僕と結婚してよ～」とか宣っていたらしい。
許すまじ。万死に値する。

あの男(白澤)自身は「僕は女性に無責任なことは言わない」と豪語しているらしいが、Aに対してだけは様子が違ったことがわかって、それが余計に腹立たしい。

どす黒いオーラを出しながらボソボソ呟いている鬼灯を見て、話を聞くために傍に寄ってきていた唐瓜は「(怖ぇー！！)」と青ざめていた。

でも、『約束した人がいるから』とAはその申し出を断ったのだという。

初めてこの話を聞いた時の鬼灯は、白澤に対する怒りもあってか「誰ですかそれ」と彼女に詰め寄ってしまったのだけれど…

キョトンとした顔のAに『鬼灯君のことだよ？』と言われて、珍しく面食らったのだった。

まだ子鬼だった鬼灯が勢いで(本人は至って真剣だったが)言った言葉を、彼女はちゃんと受け止めて考えてくれていたのだ。

そのことを思い出して怒りのオーラを収めた鬼灯は、隣に居るAの手を握った。

『どうしたの？』

突然手を握られた彼女は、首を傾げて鬼灯を見上げた。

「いえ…」
愛しさが込み上げてきたのでつい…

口には出さず心の中で呟いて、彼もAを見つめる。

「それで、お2人はいつから一緒に暮らすようになったの～？」

そんな2人の間に割って入って来た声の主は、やっぱりシロだった。

「シロ、だからお前はさ…」

「たまには空気読もうな…」

呆れたように両隣に居る柿助とルリオに言われて、
シロは「えっ！？なんかゴメンなさいっ」と尻尾を下げて慌てて謝ったのだった。