【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ四】 (ページ23)

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現世視察も楽じゃない② ページ23

「今は月一程度ですが…本当は週一で行ってもいいくらいだと私は思います」

「でも、A様はあんまり行ってないよね？」

鬼灯の言葉を聞いて、シロがAに尋ねた。

『私は立場的なものもあるから、あんまり現世視察に行ける機会がなくて…あとは倶生神さんたちが、ちゃんと報告をしてくれてるし』
皆すごく優秀なんだよ～

彼女はニッコリと答える。

『鬼灯君もお土産話を聞かせてくれるし、実際にお土産も買ってきてくれるし…それから、たまに現世に行く時は私も楽しみだったりするよ』
お仕事の時は、はしゃぎすぎると鬼灯君に怒られちゃうけどね。

倶生神…と聞いて、柿助が思い当たったように言った。

「あ、地獄の記録部署か！」

「ハイ。彼らの記録は正確ですから、それで事足りるっちゃ足ります」

倶生神は、人間一人一人についていて、一生分の善行、悪行を記して閻魔大王に報告する神である。
男神が善行を、女神が悪行を記録するとされている。

「しかし、だからってろくに現世を見ていない者に亡者も裁かれたくはないはずです。現地訪問をせずに、アレコレ上から物を言うのは、官吏の最も悪い癖ですから」

「なるほどねー」

さすが鬼灯様は色々考えてるんだなぁ…と、3匹は頷いた。

「シチュエーションに合わせて変装しなければならない時が大変なんです」

鬼灯は小さくため息をつく。

「今はいい時代ですよ。万が一私がこのまま歩いていたとしても、「ちょっと変な人」で済みますから」

『う、うーん…まあ、コスプレに間違われる確率は高くなったけど…』
そのままはやっぱり良くないと思うなぁ…

「昔は大変だったのです。例えば1000年前、私が普段の姿のまま歩いていたとしたら…」

「鬼が出たぞー！！」
「矢を放てーッ！！」

と、武器を持ち出されて大騒ぎである。

「発見された途端に矢を放たれるって、結構な事件ですよ」

((てことは、放たれたことあるんだな…))

と、柿助とルリオは青ざめた。

「…確かに、「とりあえず職質」で済むってありがたいことかもね」
それでも、職質されたら困っちゃいそうだ…と、シロは思った。

まさか、「地獄の獄卒です」なんて言えないだろうし。

「うっかりすると見世物小屋行きですし…角や耳を隠すのに、今より必死だったかもしれませんね」

獄卒たちにとっては、現世視察も楽じゃないのである。