【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ四】 (ページ3)

今日:5 hit、昨日:15 hit、合計:37,250 hit

時には昔の話を③ ページ3

『そっか、今は教え処に通ってるんだね』

「はい」

『皆偉いなぁ～私も頑張らないと！』

鬼灯の話を聞いて、Aは感心したように言った。

ちゃんと学べる場があるのは良い事だ。
特に今、大きく変わりつつある黄泉の国に身を置いている鬼の子供たちには、きっと必要な場所だから…と。

「Aさんは、今はまた新しく改革案を考えている最中なのですか？」

机の上の書類(巻物)をチラッと見て、鬼灯が尋ねる。

『うん。鬼灯君が提案してくれた通り、黄泉の国をいくつかに分けて…っていう施策を、イザナミさんと実践中なの』

とりあえず、天界が天国、地上の現世より下界が地獄、つまり今の黄泉の国にあたるわけだけど…そんな風に区分して行って…

その地獄を、いくつかに分けていこうって話を進めてる最中なんだ。
イザナミさんは元々天界側の方だから、色々思うことはあるみたいだけど…

と、Aは「おのれイザナキめぇ～今に見てろぉ～…」と、若干私怨が入り交じった呪いの言葉を吐いていたイザナミを思い出して苦笑した。

『まだ、黄泉の国は混沌としてるけど…ちゃんと制度が出来たら、絶対皆暮らしやすくなると思うの。亡者たちも取り締まって、悪い行ないをしてきた人にはちゃんとそれ相応の罰を受けてもらって…』
みたいな感じかな。

「では、それを判断する方々…裁く方々が必要になって来ますね」

Aの話を聞いた鬼灯が、さっそく意見を述べた。

『あ、確かに！1人じゃ難しいから、何人かにその役割を担ってもらわなきゃだね…』

ふむふむ…と彼女は考えて、それから目の前に座る子鬼に微笑みかける。

『鬼灯君はやっぱりすごいなぁ～…発想の転換が、私も含めて他の人とは違うんだもん』
出会った時も思ったけど、賢いなって。

「そうでしょうか？」

対する鬼灯は、あまり気にしたことはなかったらしい。

まあ、すごく賢いのはそうなのだが、鬼灯に限らず、そういう人物は大抵どっかしらのネジがぶっ飛んでいたりする。

じゃなきゃ、出会って数分の女性に求婚したりしない。
多分。
彼の場合、生まれが特殊だから仕方ないのかもしれないが。

鬼灯が、ちょっと危うい方向にぶっ飛んだ発想をする時があることを、この時のAはまだ知らない。