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※流血表現有
周りで面白そうに見学していた人間達がざわつく。
中央でショッピと向き合っていた魔女の頰が、歪に引き攣る。
「…貴方、自分が何を言ってるか分かってるの?」
syp「そもそも、アンタが何言ってんすか?」
俺、A以外を主人にするつもりないっすから。
ショッピの言葉にわなわなと肩を震わせた魔女が、杖を此方に向けて激高する。
「このッ…私を馬鹿にするなんて!!」
syp「はあ。アンタ面倒くさいっすね。けどいいんすか?」
アンタの使い魔、大変な事になってますけど。
刹那、びしゃりと粘度の高い液体が跳ねる音がする。
はあ?!と眉を寄せた魔女が其方の方向を見て、目を見開いた。
「う、そ……。」
syp「汚い手でAにあげたもん持ってたんで、返して貰いました。」
血溜まりに沈む女の使い魔。
小さく呻き声を漏らす自分の相棒に、魔女は声にならない悲鳴をあげた。
syp「大袈裟な。悪魔やろそいつ、なかなか死なんのやから別にええやろ。」
ほんまやったら此処にいる全員殺したいけど、それはAが悲しむやろうからやめときます。
室内に漂う氷のような殺意に、その場にいる全員が本能的に動くのを止めた。
いまうごけば、ころされる。
syp「あんまりAの事イジメんとって下さいね。何があるか分かりませんから。」
ネックレスを奪う為に文字通り
____
syp「うわ、これまた手酷くやられてしもたなぁ。」
ソファに倒れ込んだまま寝息を立てるAの顔を覗き込む。
泣き腫らしたのか瞼は真っ赤に腫れており、魔法を使われた衝撃で頰や腕など、至る所に痣や切り傷が出来ていた。
思わず殺気が漏れそうになるも寸前で堪える。
今は報復よりもAの治療だ。
手を翳して治療魔法を施す。
掌から発生した淡い光に照らされた肌が元通りになっていく様を眺めながら、ショッピは少し反省していた。
Aが魔法を使えないのは、彼女自身が自分の魔力を持て余しているからである。
魔力が少ないのではなく、多すぎる為に制御出来ない。
そんな彼女の悩みを解決するべく魔界に資料探しに戻ったのだが、よもやこんな事になっているとは。
Aを揶揄っていいのは俺だけ、守るのも俺だけでいい。
次は絶対離れないと心に決め、ショッピはAの瞼に優しくキスを落とした。
syp「おやすみ、A。」
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ちぃ汰。(プロフ) - 初めてのコメント失礼いたします。本当に素敵な作品ばかりで常々楽しみにさせていただいております。今回のお話もとても素敵でした。陰ながら応援しております。 (2020年7月17日 20時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - お久しぶりの更新お疲れ様です!久々に来てみたら最推しが更新されてたし、かっこいいしでちょっと爆発してきました。これからも頑張って下さい!応援してます! (2020年7月17日 19時) (レス) id: 0c05c25a4f (このIDを非表示/違反報告)
「かぎかっこ」(プロフ) - おっど#sakuraさん» コメント並びにお心遣いまでありがとうございます!色んな形のお話をかけたらと思っておりますので、これからもお楽しみ頂けるように精進します! (2020年5月21日 16時) (レス) id: af5934532f (このIDを非表示/違反報告)
おっど#sakura - 心が暖かくなるのもあれば、ドロッドロに溶かされる様な甘いのもあってすっごい有意義な時間を過ごせました。上から目線のようになってしまいましたが、要するに最高な作品を読まさせて頂きありがとうございます。これからも応援してます。 (2020年5月17日 1時) (レス) id: 2fb229e0ec (このIDを非表示/違反報告)
「かぎかっこ」(プロフ) - 霞花さん» コメントありがとうございます。楽しんで頂けたようで幸いです! (2020年5月15日 21時) (レス) id: af5934532f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:「かぎかっこ」 | 作成日時:2019年9月27日 2時