54.どうでもいいけど君が好き(syp) ページ1
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魔法使いパロ
薄暗い書庫内で小さな人影がパタパタと走り回る。
手元の分厚い本に視線を泳がせて、次いで棚の上を見上げる。
「ショッピ！次これお願い！」
syp「ええぇ…またっすか…。」
人影は快活な少女を思わせる声音で少し離れた所へ呼びかける。
すると、呼びかけに応じて1人の青年が奥から顔を覗かせた。
「そんな嫌そうにする事ないじゃない！私の背丈じゃあそこに届かないの！」
syp「魔法使って片付ければええやないですか。」
「うっ……意地悪ね…私そういう細かい魔法得意じゃないの。知ってるでしょ？」
あーはいはいなんて至極面倒臭そうな表情で少女の元に歩み寄ったショッピが、彼女から本を受け取って空いているスペースに収納する。
Aは魔法が少々不得手な珍しい魔女であった。
特に浮遊魔法や召喚魔法など、細やかな神経を要する魔術がからっきし。
syp「あーあ、可愛いロリが契約結んでくれたと思ったのに、魔法が下手くそな合法ロリなんて聞いてないっすわ。」
「わ、悪かったわね？！私だって好きで下手くそなんかじゃないわ！！？」
魔女は規定の年齢まで達すると自分に魔法をかけて老いを止める者が殆どであり、Aも例外ではなかった。
まあ、彼女の場合は失敗して老いどころか見た目まで若返ったままストップしてしまった訳だが。
いいとこ中等部の学生のように見える彼女は今年25になる立派な魔法大学の院生であり、ショッピは彼女と契約して現界した魔獣であった。
syp「いつまでもそんなだからパシられるんちゃうんすか？」
「……皆忙しくてたまたま書庫の整理に手が回らないだけよ。使い走りなんてされてない。」
syp「…はあ。別にいいっすけど。」
「…早く片付けて部屋に戻りましょう。」
心底呆れたと言わんばかりの溜息は容赦なくAの心臓を貫く。
自分の魔獣にまで愛想尽かされた。
こんな惨めな事があるだろうか。
陰気な雰囲気漂う書庫にいる事で余計に悲しさが増した気がして、唇をキュッと引き結んだAがショッピに背を向けて作業を再開する。
そんな彼女の様子を目を細めて暫く眺めていたショッピだったが、小さく溜息を零したかと思うと闇にその姿を溶け込ませ、何処かに行ってしまった。
「…なによ、手伝ってくれても良いじゃない。」
完全に気配が消えて1人になった室内で、手にぽとりと雫が落ちたのに気付かないフリをして、Aは黙々と本を棚に戻す作業を続けた。
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ちぃ汰。(プロフ) - 初めてのコメント失礼いたします。本当に素敵な作品ばかりで常々楽しみにさせていただいております。今回のお話もとても素敵でした。陰ながら応援しております。 (2020年7月17日 20時) (
レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - お久しぶりの更新お疲れ様です！久々に来てみたら最推しが更新されてたし、かっこいいしでちょっと爆発してきました。これからも頑張って下さい！応援してます！ (2020年7月17日 19時) (レス) id: 0c05c25a4f (このIDを非表示/違反報告)
「かぎかっこ」(プロフ) - おっど#sakuraさん» コメント並びにお心遣いまでありがとうございます！色んな形のお話をかけたらと思っておりますので、これからもお楽しみ頂けるように精進します！ (2020年5月21日 16時) (レス) id: af5934532f (このIDを非表示/違反報告)
おっど#sakura - 心が暖かくなるのもあれば、ドロッドロに溶かされる様な甘いのもあってすっごい有意義な時間を過ごせました。上から目線のようになってしまいましたが、要するに最高な作品を読まさせて頂きありがとうございます。これからも応援してます。 (2020年5月17日 1時) (レス) id: 2fb229e0ec (このIDを非表示/違反報告)
「かぎかっこ」(プロフ) - 霞花さん» コメントありがとうございます。楽しんで頂けたようで幸いです！ (2020年5月15日 21時) (レス) id: af5934532f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：「かぎかっこ」 | 作成日時：2019年9月27日 2時
