100hit記念 ◯◯しないと出られない部屋 ページ3
(※当時100hitに浮かれて作成した話です。いわば黒歴史。お題は変えていません。
恋愛感情とも取れる描写が一部ございますので、嫌な予感がした方はブラウザバック推奨。)
「──Aさん!」
「ッ、はい……?」
誰かが呼ぶ声でAは目を覚ます。まず目に入ったのは特徴的なお面──サミー・ローレンスの姿だ。
「ここは……」
そこはAの見知らぬ部屋。四方を壁に囲まれ、家具や窓はどこにも見当たらない。正面には白い扉があった。何故か、Aはこの扉は開いていないという直感を抱く。
「私にも分かりません。起きたらこの部屋に……我が主や他の奴はいないようですし、閉じ込められてしまったのかも」
「閉じ込められて……とりあえず、出られる方法を探しましょう」
と言った矢先、まるでその言葉を待っていたように小さな紙切れがひらひらと落ちてくる。その紙をAが捕まえ、印刷された文章を読み上げた。
「"キスしないと出られない部屋"……?」
お互い口には出さないものの、悪趣味さと謎の人選に目眩を覚える。何故私たちなのか……
ふと、サミーが再びAを見やる。……思わず、見間違いでは無いかと己の目を疑った。
「……どうかしました?」
「いや…………服が」
「服?」
首を傾げ、自分の体を見下ろすA。
いつもとは違う黒い上着に白いシャツ。体を捻って後ろを確認すると、二股に割けた端が目に入った。
「……これは所謂燕尾服というヤツでは?」
「……に、見えますね。…この一瞬で変わったのか……?」
かつての正常さが顔を出し、サミーはさてどう脱出すべきかと呟いて扉を見つめる。その様子に小さく笑いを漏らしたのはA。
「どうするも何も、キスするしか無いでしょう」
「私があなたと? ……それはちょっと」
「それどういう意味ですか」
睨みつけられて慌てて首を振り、年頃の女性だろうと言葉を濁す男に緑の瞳が面白そうに歪む。“少しいいですか”と呟き、返事を待たずにその黒い手へ口付けるA。軽いリップ音に重なる解錠音。
何事も無かったように手を離した女が笑う。
「さて、戻りましょうか。皆さんに心配は掛けられません」
男が呆気に取られている内に、ドアノブがAによって捻られて扉が開く。その先はセピア色と黒のスタジオだ。見慣れた閉鎖空間の光景。
「………………私で良かったですね」
サミーは溜息を着き、抑えられた扉を先に潜る。振り向けば、彼女の服は戻っていた。
10人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いばら姫(プロフ) - めんつゆたまごチャンさん» ありがとうございます!とても面白いです! (2019年10月11日 18時) (レス) id: 4dae28a5e4 (このIDを非表示/違反報告)
めんつゆたまごチャン(プロフ) - いばら姫さん» とりあえず1話目完成でございます! (2019年10月11日 7時) (レス) id: 456520fef0 (このIDを非表示/違反報告)
めんつゆたまごチャン(プロフ) - いばら姫さん» 了解です! (2019年9月11日 21時) (レス) id: 456520fef0 (このIDを非表示/違反報告)
いばら姫(プロフ) - めんつゆたまごチャンさん» ではリクエストで、みんなで王様ゲームをやってみた!をお願いします! (2019年9月11日 21時) (レス) id: 4dae28a5e4 (このIDを非表示/違反報告)
めんつゆたまごチャン(プロフ) - いばら姫さん» ありがとうございます…!サミーさんは苦労人。リクエスト等ありましたら是非是非…!(( (2019年9月11日 18時) (レス) id: 456520fef0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ツキノさん | 作成日時:2019年8月4日 0時