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潮風が髪をさらう






ばたばたと音を立てて揺れるコートと、帽子






「遅くなって、ごめんね」






2つの墓に、手を合わせる





左手に巻かれた包帯がキツくて、ちょっと痛む






あの後、なんとか一命を取り留めた私






目を開ければマルコだけじゃなくて、イゾウやハルタ、ナミュールも居て





怒られるんだって思ったら、みんな、泣いて






"生きててよかった"って






"もう誰も失いたくない"って






大の男たちが私を抱きしめて泣くから、私もつられて泣いちゃって







ごめん、ごめんねって馬鹿の一つ覚えみたいに泣きじゃくって







それから、しっかりとオヤジの、エースの死と向き合うって決めた







「エースに、笑われちゃうな」







顔を伏せたまま、目を開く







視界が歪む、胸が痛む







「あい、たいよぉっ、エースっ!」







漏れ出た言葉は、強く吹いた風にかき消される







「___どんだけ泣いてんだよ、泣き虫」







チリン、鈴の音がする






聞きなれた、けれどもう二度と聞けないと思っていた声に顔を上げる






そこにはただ、揺れ動く帽子だけ





ふわり、花の香りがする






「…ふふ、うっさいなぁ」






そうだね、泣いて縋ったってエースは帰ってこない






「また、来るね」






再度手を合わせ、2つの墓に背を向ける






チリリン






また、鈴の音がする






なんだか呼ばれているような気がして、後ろを振り向く







「えー、す」






揺れ動く黒髪、焼けた肌、白い歯がその唇から除き見える







「_____」








ぱくぱくと動く口に、涙が出る







「うん、うん私も、私もずっと」








「「あいしてる」」









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想→←の



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作者名:ごま明太子 | 作成日時:2021年1月11日 20時

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