青い世界 20 ページ3
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「あらアクディアちゃん、また痩せたんじゃない？」
「あ、あぁクルト婦人お久しぶりです。えぇ、少々鍛えてまして」
「そうなの？あんまり無茶しちゃダメよ？」
「はは、ありがとうございます」
気分転換に家を出れば、誰かしらと顔を合わせることになる
今日は世話焼きのクルト婦人、俺がこの島に越してきた時からお世話になってるクルト夫妻の方だ
「あー…頭痛てぇ」
ずきずきと痛む頭、ぼんやりとする視界にやはりなにか口にするべきだったと反省する
「今日はトンチさん家の屋根直して…あー、んで近所のガキと釣りやんねぇと…」
あぁやべ、これ落ちるわ
○
○
゜
声が聞こえる
「おにーさん」
懐かしいような、そんな声が
「ねぇおにーさん、大丈夫？」
「っエレア！？」
揺れる黒髪に目の前の小さな体を抱きしめる
「きゃっ！」
「あ、あぁ、エレア…ごめん、ごめんな、ごめんっ！」
「く、苦しいよおにいさん、それにエレアってだぁれ？あたしティナだよ？」
ティナ。その言葉に一気に目が覚める
腕の中に閉じ込めた小さな少女はエレアでは無く、近所に住む6歳のティナ
黒い髪はエレアと違ってサラサラと風になびくストレート
エレアと違い肩で揃えられているのに、見間違えてしまった
「わ、悪い…寝ぼけてたみたいだ」
「だいじょーぶ？それにエレアって、昔おにいさんと一緒に住んでた子でしょ？」
「っ、なんで知ってるんだ？」
どくりと音を立てる心臓をよそに、立ち上がりティナを抱き上げる
小さなリュックを背負っていることからお使いの帰りだろう
ティナの家に歩を進め、耳元から聞こえる高い声に集中する
「ままが言ってたの、エレアちゃんって子が昔住んでんだーって」
「居なくなっちゃってからおにーさん元気ないって、言ってたから」
「(お喋り好きめ…)」
ため息を飲み込み、話を逸らそうと口を開く
「おにいさんは、エレアちゃんが大好きなんだね！」
言葉が音として出る前に発せられたティナの言葉
それはあまりにも純粋で残酷で、覚悟を決めるには十分だった
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ごま明太子(プロフ) - 哀羅さん» ありがとうございます！想う、だとなんだか現実味が強い気がしたのであえて「想ふ」にしてふわふわとさせてみました。コメント本当に励みになります、ありがとうございます！ (2020年12月25日 20時) (
レス) id: d8b86df49f (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 続編おめでとうございます！タイトルいいですね！君想う、ではなくあえて想ふ、としてるのがたまらなく好きです！百人一首や和歌を思い出します。今回も応援してます！ (2020年12月25日 17時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ごま明太子 | 作成日時：2020年12月25日 16時
