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心臓がうるさい。手汗が酷い。頬どころか首まで熱い。彼女の顔を見たい、けれど視界に彼女が入るだけで死んでしまいそうになるので、すぐ横の何もない空間を見つめた。なにか答えなければと思ったが、緊張した頭では気のいい事などなにも浮かんでこないので、必死に喉から短い返事を絞り出した。

「……ええ。いいですけど」
「ほんとですか!?やったぁ…!」

 彼女の嬉しそうな声色に、期待してしまう。
 口角が上がりそうになって、でも気持ち悪いなんて思われたくないから下げようとして、結果微妙な顔になった。軽く息を吸って真顔に戻そうとしたところで、やっと自分が呼吸をしていなかったことに気づいた。

 ずっと好きだった。卒業してから今に至るまで彼女のことを忘れた日はなかった。
 だって、初めてなんです。
 貴女の姿を一目見ただけで胸が高鳴って、言葉を交わすだけで頭がくらくらして、指先が触れただけでなにも考えたくなくなるんです。空っぽにして貴女だけを詰め込みたくなるんです。熱に浮かされたみたいになるのが心地いいんです。
 普通はこんな、学生時代の他人をずっとずっと、ずっとずっとずっと想っているのなんて……おかしいことだと、異常なことだとわかっています。
 でも、でも。貴女の鈴の音のような綺麗な声が、貴女の百合の花のような笑顔が、心の中で渦巻くから。忘れたくないと叫ぶから。私を捕えて離さないから。


「(これが運命だったらいいのに)」

 そんな小説のセリフのような、気障ったらしいことを本気で考えてしまうくらいに、私は貴女に酔っている。







 ──数時間後、彼女が目の前で“化け物”に喰い殺されることなど知らないで。

メンタルブレイク【スワロ】→←運命の歯車はとうに回り出していた【セス】



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匿名と言う名のパンの耳 - ああ...主さんの作品最高です...✨更新無理しない程度に頑張ってください! (4月18日 21時) (レス) id: 3629f8210d (このIDを非表示/違反報告)
奇花琉 - この作品めっちゃ好きです!すみません、ハララさんとヴィヴィアさんの取り合いって書いていただくことは可能でしょうか?無理だったら、大丈夫です。 (3月25日 19時) (レス) id: d03b24d678 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - わかりました!すみません (10月26日 7時) (レス) id: 16f178a420 (このIDを非表示/違反報告)
めんまんま(プロフ) - ?さん» 申し訳ないのですが、ゲーム本編外のキャラクターはまだ掴めていない点が多いため、今は書く予定はありません。ハララさんのお話はまたいつか書きますので、気長にお待ち頂けると幸いです。 (10月25日 20時) (レス) id: 8239658aff (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - 色々頼んでしまってすみません (10月24日 7時) (レス) id: 16f178a420 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めんまんま | 作成日時:2023年9月4日 16時

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