自分勝手 ページ26
私は、またシークさんに抱き締められている。涙は未だに止まらない。
『ま、さかっ、ゼルダ様っ、がっ、シークさんだった、だ、なんて、グスッ』
シーク「うん。今まで黙ってて悪かった。」
抱き締めた腕の力が強くなる。とても暖かく感じるが、心のどこかが冷たくチクッと痛んだ。何故だろう？会えて嬉しいはずなのに、なんで？ああ、そうか
私はシークさんが好きだからか。
だけどシークさんの正体はゼルダ様。私は女同士なんて考えたこともない。でも、そんなことも、ありかな？とか、思った。だが、それはただの自分勝手。ゼルダ様が困るだけだ。ならやることは１つ。
『…ごめんなさいシークさん。私はやっぱり、そっち側に戻れない。』
シークさんを押し退けて睨む。本当はこんなことしたくないけど、こうしないと貴女を苦しめることになってしまうから。そんな気持ちが膨らんでいくと、私はまたさっきの姿に戻っていった。
シーク「！？A！！」
リンク「A！何でだよ！？」
『これも私の自分勝手なの！もう、私はそっちに戻れません！！』
私は紫の鎖を地面から引き出し、自分の周りを囲った。私はたちまち地面に引き込まれた。
シーク「！！A！…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
シークはゼルダに戻る。それから、Aが消えていった地面を暫く見つめていた。リンクにはその後ろ姿しか見えていなかったが、悲しい表情をしていることは分かった。まだ遠くで仲間たちと守り人が争っている音や声が聞こえる。
リンク「ゼルダ姫、そろそろ行かないとまずいですよ？」
ゼルダ「…」
呼んでも動かない。聞こえていないのだろうか。リンクはもう一度声をだす。
リンク「ゼルダ姫！行きますよって。」
今度は聞こえたようで、ビクッっと肩を小さく揺らして手で顔を拭いた。そしてくるりとリンクを向き、
ゼルダ「ええ！行きましょう！」
と声を張ってくれた。が、その目は明らかに腫れていて、泣いたことがわかった。
リンク「…」
リンクは何も言わず、ゼルダと仲間の元へ向かった。
いや、何も言えなかった。の方が正しいのかもしれない。
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作者名：めんごねん | 作成日時：2017年7月24日 9時
