君を包み込みたい／✈️ (ページ10)

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あのお兄さんだった。

助けてくれたんだ…。

助けてくれたこと。
ずっと会いたかった人に会えたこと。

全てが嘘みたいで、声が出なかった。

ナンパ男は、諦めていなくなった。

『あ、ごめんな…』

パッと肩を抱いていた手を離された。

「いえ…こちらこそ助けていただいて
ありがとうございます！」

『クレープ屋の店員さんですよね？
困ってたみたいやから、黙って見てられへんくて…』

私のこと覚えててくれたんだ…。

本日3度目の感動。

「そうです…ほんとにありがとうございました」
「あ、そうだ…！」

カバンの中をガサゴソと探して、
お兄さんに差し出した。

「これお礼です。クレープ無料券です！宜しければ…」

『いいんすか？ほんまに？ありがとうございます』

嬉しそうに受け取ってくれた。
その笑顔もかっこいい…。

その後、また変な人に声をかけられたら危ないからと改札まで送ってくれた。

あぁ、なんて素敵な人なんだろう…と、
また好きになる理由が増えたと同時に、

名前聞けば良かったー！

と後悔した。