３９.そばにいて ページ40
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「痛い、よ、先輩……」
『へ？？？』
「そんなに強く握ったら、ちぎれちゃいます」
『A……??』
「ただいま、祐くん」
『……っおかえりっ!!』
目の前には、目を開けて、優しく微笑むA。
起きて、くれた……
『A……!!!』
「泣、かないで」
そう言い涙を拭ってくれるA。
『本当に……
本当に、良かった……』
「ずっと、待っててくれて、ありがとう」
あの事故から約５日。
もうAの笑顔は見れないのかと思ってた。
「これ……」
Aが、ブレスレットを見つめながら俺に問う。
外は真っ暗。
ハッとして時計をみると、次の日になっていた。
『A、誕生日おめでとう。』
「え？」
『今日、誕生日だよ、A』
「ほんとだ……
私５日も眠っちゃってたんだ」
『うん、心配したんだからね？』
「先輩……」
『それ、俺からの誕生日プレゼント。』
「え！？」
『当日に渡せて良かった。』
「ほんとに……
ほんとに、ありがとうございます！」
『どういたしまして。』
そう言い、先輩は笑った。
『私、』
「ん？」
ニコニコしながら話を聞いてくれる。
『起きたときに誰もいなかったらどうしようって、
一人で目を覚ましたらどうしようって、
ずっと不安だったんです。』
「うん」
『でも、
起きたときに真っ先に見えたのが先輩、
……祐くんで
先輩の顔を見て凄く安心しました。』
「うん」
『そばにいてくれて、ありがとうございます』
「約束したでしょ？
そばにいてって
Aが嫌だとしても、俺はAが起きるまでずっとここにいるつもりだった。
何年かかろうと。」
私は、手越先輩に出会えて幸せだ。
連絡しなかったのに、
こんな風に思ってくれているなんて。
『先輩は、優しすぎます』
「え、そう？笑」
そう言ってまたフニャって笑う。
『私、
祐くんが大好きです。』
「うふふ。
それ５日前も聞いた。」
『え、聞き取ったんですか？』
「当たり前でしょ。
俺を誰だと思ってるの？
天下の手越様だぞ」
『そうですか？
じゃあ今私が何しようとしてるかわかりますか？？』
「もちろん。」
『へっ！？？？』
そう言って先輩は私を抱き寄せた。
「俺も、
大好きだよ？A。」
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