first loveの花言葉【Y.T】 (ページ39)

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３８.お願いページ39

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＜だいすき＞

そう言ったAの苦しそうな声が、頭から離れない。

俺のハンカチを拾って嬉しそうにこっちを向くA。

『危ないっ！』

とっさにAを助けようと体を動かしたが、
俺の数㎝前を突っ込むトラック。

あと一歩。あと一歩速く動けてたら……

助けられたんだ、きっと。

でも、

こんな後悔することをAはきっと望んでいない。

Aの頭を撫で、横に座る。

頭には、俺があげたかんざし。
傷１つないそれに、大切にしてくれてたんだと感じる。

わざわざ付けてきてくれたんだ。

季節違うのに。

夕日が明るくなってきて、カーテンを閉めようと立ち上がると、バサッと何かが落ちる音がした。

見ると、Aの鞄が開いて中身が外に飛び出していた。

『あ、ごめんA』

飛び出した物を拾っていると、
小さなノートが開いたままで落ちていた。

何だろ、日記……?

罪悪感を抱きながらも中を覗くと、

『っ……!』

整って綺麗な字で、見たことのある字がスラスラと並んでいた。

＜おんなじ気持ち咲き始めたあの日のように

あぁ出会った日の二人が笑ってる＞

色とりどりなペンで装飾されたその文字は、
あの頃を思い出させた。

『A……っっ』

あの日、俺はこの曲の名前も歌っている人も、なにも教えていない。
ということは、調べたんだろう。

見たことのない帽子を深く被って家から出てきた時はまさか、とは思った。

やっぱり気付いてたんだね、A。

だから俺から離れたんでしょ……?

確信したのに、心は落ち着いていた。

あと１つ、ラッピングされた袋が床に落ちていた。

＜祐くんへ＞

ラッピングの袋には、そう書いてあった。

『ねぇA、起きてよ。

俺への誕生日プレゼント、でしょ？？

早くちょうだいよ。』

涙腺が緩み、涙が出そうになる。
Aの手をぎゅっと握りしめながら続ける。

『俺、Aの笑顔を見ないと元気になれないよ?』

だからお願い、早く、目を覚ませ……

そう願いを込めて、Aの細い手首に、
花のチャームがついたブレスレットを通した。