３５.本音 ページ36
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「まずは、なんで、俺からの連絡を散々無視したの？」
先輩は、近くのベンチに腰かけて私に問う。
ズボンのポケットには、私があげたハンカチ。
嬉しくなると共に、切なくなる。
「マジで心配したんだからね？
体こわしたのか、倒れたのか、とか。
で、久々に大学行ったらAがいるし。」
『えっ、』
気付かれてた？
いつ……？
「それこそ連絡してくれたら良かったのに。
たまにだけど一緒に行く事だって出来たよ？」
『ごめん、なさい』
「謝って欲しいんじゃなくて、理由を聞きたいんだよ？」
怒ってるのに、口調は優しい。
こんな時でも、先輩の優しさを感じてしまう。
『連絡しなかったのは、
先輩の受験の邪魔をしたくなかったからです。
先輩、ずっと、あの大学に受かりたいって言ってたから……』
「やっぱりね。そんなことだろうなと思ってた。
で、それからは？」
どうしよう。
仕事に気付きました、なんて言えない。
言ったら、先輩が遠くに行ってしまいそうで…
こんな時までずる賢い私。
ほんと、バカみたい。
『今更連絡しても、散々無視したから迷惑かなって』
嘘は言ってないはずだけど、心が重くなる。
「……」
先輩は急に黙る。
「バカじゃない」
『え？』
先輩の口からは聞いたことないような単語が聞こえて、思わず聞き返す。
「俺は、ずっと待ってたよ？？
大学の受験も大事だけど、その分Aも大事だから、受験の為にAから離れようなんて思ってなかった。
それに、連絡がとれない間、俺、どうしてたと思う？
……ずっと、Aのこと考えてた。
声聞きたい、会いたいって。
Aが思ってるほど、俺は強くない。
心の支えがないとダメなんだよ。」
『先輩……』
「Aが俺のことどう思ってるかはわからないけど、
俺はずっと、高２の頃から変わらない。
ずっと好きだよ？A。」
こんな事言われたらもう、嘘なんて付けないよ。
『わたし、もっ
あの頃からずっと、手越先輩が好きです』
そう言い先輩を見ると、ニコッと笑った。
久しぶりに見る先輩の笑顔は、あの頃と全く変わらない。
ｰｰその時、大きな風が吹いた。
先輩のポケットから、ハンカチが飛んでいく。
追いかけなきゃ！
「え、A？」
私は一目散に走り出した。
それは風になびいて岩に引っ掛かった。
良かった。
私はそれを拾う。
『先輩、
祐くん！！
ハンカチ落とし……』
「危ない！！」
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