３３.今日だけは ページ34
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『髪の毛……よし！
格好……よし！
行くぞっ』
夢の大学生になって約半年。
手越先輩は忙しいらしく、こっちの家には帰ってこないため、中々鉢合わせもしない。
まぁその方がいいかな。
あれから気持ちは落ち着いてきて、いつも通りの生活が出来るようになってきた。
高校生入学当時では想像もつかないような、
明るい女の子に変わっていって、
友達も、親友も出来た。
これも手越先輩のおかげ……
って、また先輩を思い出しちゃうじゃん。笑
「おはよ、A
今日午後までいる？」
『おはよ。
ううん、今日は午前で帰る〜』
「えぇー、ランチ食べる人いなくなったじゃん」
『こら、奢って欲しいだけでしょうが。』
「げ、バレた？？」
学校に行ったら、話しかけてくれる人もいる。
でも、……登下校は一人。
午前の講義が終わって、電車で帰る。
回りには、沢山のカップルが笑い合ってる。
そうだよね、だって今日は、
クリスマスイブだから。
みんなはなんでこんな日まで学校あるの！って言ってたけど、私は家にいてもどうせ一人だから都合が良い。
高１の時は幸せだったなぁ。
クリスマスイブも、クリスマスも、先輩と過ごしたっけ。
『……っ』
家までの道を歩きながら、涙が出そうなのを堪える。
家に帰って、勢い良くドアを閉めて、
ドアに寄りかかり、深呼吸をする。
今まで我慢してたけど、今日だけは。
今日くらいは……
『うぅ……せんぱいっ……』
prrrrr……
突然震えたスマホ。
画面に表示されたのは、
ずっと会いたくて、声を聞きたくて
ずっと消せずにいた連絡先。
『なんで、今っ……』
戸惑わずに出ちゃうじゃん。
＜……もしもし＞
『……
せん、ぱいっ……』
＜……A？＞
『っ……』
＜ほら、泣くな、大丈夫？＞
さっきまで怒り気味だったのに、
急に優しい声になって、
今一番私が欲しい事を言ってくれる。
＜明日、連れていきたい所があるから。
夜の６時半に家に迎えに行く。＞
『わ、かりました。』
＜じゃあ。
……ちゃんと寝ろよ？＞
『はい！』
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