２１.優しい先輩 ページ22
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朝、クラスの子に言われた事についての不安と、
体育の授業の幸せな時間のことをぼんやり考えていると、
あっという間に１日は終わった。
帰りの会が終わり、荷物をまとめ、
時刻は４時半。
手越先輩との約束の時間まで二時間。
勉強用具を広げて、勉強を始める。
もしこれが入学当初の私だったらキツいけど、手越先輩がいるから頑張れる。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
「ちょっとあんた。」
勉強をしはじめてから約一時間半。
私以外誰もいない教室に入ってきたのは、
複数の女の人。
制服はここの学校のだから、靴の色からして二年生。
『は、はい。なんでしょう』
「最近祐也と仲良くしてるみたいね。」
祐也……手越先輩のことそう呼んでるってことは……
「祐也は私のものよ。とらないでくれない？？」
まさか先輩、彼女いた……??
『すみません……』
「はぁ……祐也もなんでこんな地味な子と仲良くしてるわけ??」
「かわいそうだからじゃない？？」
「あー。祐也優しいもんね」
やっぱり……そうだよね。
私が一人でかわいそうだから、先輩は私と……
「わかった？？祐也はあんたがかわいそうだから一緒に登校したりしてあげてんの。
一々家に寄ったりするの大変なんだよ？？
そんなこともわからないの？？」
『……』
わかってる。わかってるけど……
「もう金輪際祐也に近づかないで。」
『そんな……』
「何？口答えする気？
全く……こんな子と仲良くするなんて、祐也もバカね。
もっと良い男だと思ってたのに」
今なんて??
『先輩は、』
「は？」
『手越先輩は、バカじゃないです！！！
こんな私にも優しくしてくれる、すっっごく良い先輩です！！！
手越先輩の悪口、言わないでください！』
自分でもびっくりするほど大きな声が出た。
今の私はきっと顔が真っ赤だろう。
「なにアンタ……
ただ優しくされたからって……
先輩に良くそんな口叩けるわね！！！」
そう言ってその先輩は手を振り上げた。
あ、叩かれる……
私は目を閉じた。
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