３．５話 ページ4
「お前、Aとどういう関係だったんだ」
強引に連れ出されたクロロは、ずっしりと重い本を抱え直しながら問うた。
早足に歩いていたヒソカはそこでようやく歩調を緩め、クロロの隣に並ぶ。
「ボクが念を覚え立てのころ、公園で行き倒れたことがあってね♠ 窮地を救ってもらったってわけ♦」
「ほお。初恋か？」
クロロは何の気なしに冷やかした。
だが、帰ってきた答えは、クロロの想定をぶっちぎったもので。
「そうだよ。ずっと好きだった」
静かな声だった。常に人を小馬鹿にしたようなヒソカの、こんな真摯な声音をクロロは初めて耳にした。
芯の通った重量のあるセリフ。それは愛する者がいる男の声だった。
束の間呆気にとられたクロロだったが、彼とて伊達に団長などやっていない。
にやっと意地の悪い笑みを浮かべ、「それは困ったな」とちっとも困ってなんかいない声色を使った。
「悪いが、彼女と俺は一年ほど密に交流している。今更お前の入る隙はないかも知れないぞ」
「彼女にその気もないくせに♣」
「俺にその気がなくても勝手に惚れる女はいくらでもいたさ」
「Aはそういうタイプじゃないよ♦」
「どうだか。年月は人を変えるぞ」
無論、Aがクロロに恋愛感情を抱いてなぞいないことは、クロロ自身が誰より分かっている。単にヒソカの見たことがない様子が面白いからからかっているだけだ。
ヒソカも何となくそれを悟りながら、それでも一抹の不安が生じてしまうのを抑えきれなかった。
恋とは人を臆病にするものなので。
続く (更新停止中)
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でぶき - 更新これから頑張って下さい!!🐼 (2022年6月11日 10時) (
レス) @page4 id: 804c35253a (このIDを非表示/違反報告)
リメ(プロフ) - くらげさんの新作、ずっと楽しみにしていました、！！ 長女たるものかくあるべし！の方は何度も何度も読み直させて頂いていて、文の書き方が本当に本当に好きです！お体に気をつけて更新頑張って下さい(´･･`)！ (2020年5月14日 15時) (レス) id: d23165a5ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くらげ | 作成日時：2020年5月9日 23時
