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夜中、少し肌寒さを覚えて目が覚めた。
見ると、羽毛布団の七割ほどがイルミに寄っている。しかしイルミ自身の体勢はさほど変わっておらず、眠っているうちに無意識で布団を弟にあげたようだった。

時計を見ると、もうじき丑三つ時になる。
暗殺業をしていると時間の感覚が狂ってしまうと思われそうだが、実際は逆だ。ターゲットがどのような生活をしているか調査してから仕事に出るため、むしろ時間には人一倍気を使う。
特にキキョウは「寝不足はお肌に大敵だから、仕事のない日は早く寝るのよ」と口を酸っぱくして言っている。

Aは言いつけをきちんと守っていた。
毎日、可能な限り十時近くには布団に入り、苦手な朝も昔と違って、自分で早起きできるようになった。
規則正しい就寝を乱したことはほとんどなく、だからAは、イルミが何の警戒もせず穏やかな寝顔を晒すのを初めて見た。

初めて、というと語弊があるかも知れない。かつては一緒にタオルケットを布団代わりにお昼寝をしたような記憶がある。
しかし、思い出を正確に覚えておける年齢になってから、弟の眠っている顔を見るのは確実に初のことだった。

イルミは暗殺者として模範的だ。どれだけ深く睡眠を取っているように見えても、人の気配を察知するや否やすぐに意識を浮上させる。
元来夢から戻りにくいAと違って、彼は幼い時分から常に浅い眠りを繰り返していたように思う。

そんな彼が、Aの隣でこうも無防備に眠っているところを見られるとは。
忍びないだけでなく勿体無いような気がして、わざわざ“絶”をした手をそろりとイルミの髪に伸ばす。

つやつやした綺麗な黒髪だ。Aは、キキョウが丹精込めて手入れしてくれる金髪が嫌いではないが、イルミのこの髪はもっと好きだった。

二、三歳のまだ幼い時は、父の荘厳な銀髪に憧れを抱いたこともあったけれど、イルミの黒髪はいかにも暗殺者、という感じがして格好いい。
闇に紛れ、仄かにきらめき、細い川が立てる涼やかな水音のように繊細に流れるこの髪は、羨ましいことに触り心地も良い。
今は短いけれど、伸ばしてもきっと綺麗に似合うのだろう。
自身の金髪に文句があるではないのだが、隣の芝生は青い現象だ。

顔にかかっていた一筋の髪を退けてやり、いとけない頬を指の背でそっと撫でる。
冷徹な鉄面皮をしているが、気が抜けていればまだまだ子どもだ。自分のことは棚上げに、Aはさも愛しげに微笑み、また布団に潜った。

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ハナミズキ - キルアが出てこなかった。。。。。 (4月4日 21時) (レス) @page24 id: 9174215e87 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - あけましておめでとうございます! (1月10日 17時) (レス) @page24 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - 続きはもう無いのですね... (2023年4月19日 12時) (レス) @page24 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
レイカ(プロフ) - 続きは書かないのでしょうか? (2020年4月13日 2時) (レス) id: 2f295bf970 (このIDを非表示/違反報告)
無題 - そうだったんですか…。残念ですけど、今まで楽しく面白い作品をありがとうございました!!貴方の作品、大大大好きでした。くらげ様の新しい作品、とても楽しみにしています。本当にありがとうございました!! (2019年5月11日 6時) (レス) id: 9aad1e7bf8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらげ | 作成日時:2018年10月13日 20時

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