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「その……別に何か特別伝えたいことがあるって訳じゃないけど、楽しかったよ。ありがとう」
「……えっと、その感情はよく理解できない。ごめんね。どういたしまして、でいいのかな」
「うん。人からお礼を言われた時は、にっこり笑ってそう言えば大丈夫。可愛いんだから。……引き留めてごめん、友達の件、よろしくね」
シャルナークは、最後にAにはとんと理解の及ばない礼を一つ告げて、握っていた手を存外あっさりと離した。
一方的に気持ちを押し付けられたAはぽかんとしている。
ただ成り行きで一緒に試験を受けただけなのに「ありがとう」と言う意味も、そういう感情が生まれるということも、Aは今の今まで知らなかった。
人混みに消えかけていたクロロが少しだけ振り返った。
シャルナークにバレないよう小さく手を振られたので、今度はAも振り返した。
◎
飛行船を乗り継ぎ、バスに乗り、山道を走って、Aは愛しい家に帰ってきた。
早く家族に会いたい。こんなことがあって、こんなことをしたんだと、外で体験したことを沢山話したい。
試験で出会った不思議な二人についても、父には知らせなくては。
門の前でゼブロが掃除をしていたので、「ただいま！」と元気よく挨拶すると、老夫はちょっと驚いたような顔をした後、くしゃりと破顔して「お帰りなさい」と応えてくれた。
重い門に手をかけ、久々だからと力一杯に鉄扉を押す。四の扉まで開いた。巨大な龍をくぐり、薄暗くも懐かしい森の空気を深く吸い込む。
冷たく、生命の気配がしない静かな空間だ。侵入者を拒むこの冷ややかさは、しかしAにとっては何よりも愛すべきものである。
本邸までの道のりは、早く会いたい気持ちが強すぎるせいでいつもより遠く感じる。
全速力で駆け抜けよう。そう思い、屈伸運動をしかけたAの敏感な聴力が一つの物音を捉えた。
木の葉を掻き分け、枝から枝へと飛び移る慣れた足音だ。Aはそちらに向き直り、大きく両手を広げる。
「ただいま、イルくん！」
上手く衝撃を逃しながら、思い切り飛び込んできた弟を抱き込み、Aは大輪の花にも負けない笑顔で叫んだ。
日数で考えると一週間程度だったにも関わらず、腕の中のイルミは最後に見た時よりも大きくなっている気がするし、髪も伸びたように見える。
それほど会いたくてたまらなかった。
「お帰り、姉さん」
肩に顔をうずめたイルミが、少しくぐもった声でAの帰宅を言祝いだ。
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ハナミズキ - キルアが出てこなかった。。。。。 (4月4日 21時) (
レス) @page24 id: 9174215e87 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - あけましておめでとうございます！ (1月10日 17時) (レス) @page24 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - 続きはもう無いのですね... (2023年4月19日 12時) (レス) @page24 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
レイカ(プロフ) - 続きは書かないのでしょうか？ (2020年4月13日 2時) (レス) id: 2f295bf970 (このIDを非表示/違反報告)
無題 - そうだったんですか…。残念ですけど、今まで楽しく面白い作品をありがとうございました！！貴方の作品、大大大好きでした。くらげ様の新しい作品、とても楽しみにしています。本当にありがとうございました！！ (2019年5月11日 6時) (レス) id: 9aad1e7bf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くらげ | 作成日時：2018年10月13日 20時
