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「あのさ、シルくん、シャルくん」
ミオナ達に言われた通りの道を行き、またしても地下への階段を降りている最中、前回よりは短い沈黙の後にAが問いかけた。
「さっきのクイズの答え、見てもよく分からなかったんだけど……細かいの、教えてくれない?」
「ん、ああ、そうだな。一見すると難解な解答だから、解答にも解説が必要か」
既にクロロとシャルナークの二人だけの時間は終わっている。
しかし、何とは無しに漂う疎外感は拭いきれず、それを払拭するための質問だということをクロロも察したのだろう。
さりげなく歩調をAに合わせて隣に並び、指を二本立てて見せた。
「あの論理クイズで肝になるのは二重質問だ。
必ず真実を言う神でも嘘をつく神でも、『もし○○と聞いたら××と答えますか?』と聞けばこちらの望む答えが得られることは分かるか?」
「もうそこから分かんない。本当のことを言うなら分かるけど、嘘をつくならだめなんじゃないの?」
「じゃあ簡単な質問に置き換えてみよう。自分が嘘だけを言う者と仮定して考えてくれ。
『1+1=2か?』と聞かれたら、キミは『はい』と答えるか?」
「えーっと……嘘しか言えないんだよね?」
「ああ」
「『1+1=2』は嘘をつくから『いいえ』って言わなきゃいけなくて、そしたら『はい』じゃないから最終的な答えは『いいえ』になるけど、これも嘘をついて『はい』って言って……あ、ほんとだ」
順序立てて考えて、案外早く納得したAにクロロが笑顔で頷く。
二重質問の原理を単純に言うと、二重の肯定も二重の否定も、どちらも肯定になるということだ。
この質問を用いることで、真神か偽神であれば嘘をつくつかないに関わらない解答を得ることができる。
「でも、それって『はい』と『いいえ』が分かってなきゃだめじゃない?」
「いや、その必要はない。質問文に『ダー』『ヤー』を組み込むことで解決できる」
「……えっと……」
「どちらがイエスでもノーでも構わないんだよ。
例えばキミが偽神だった場合、『1+1=2か?』と聞かれたらキミは『いいえ』と答えるか?」
「んーと、さっきと同じように考えて……『いいえ』って答えるね」
「そう。××と答えるか?の××部分がはいだろうがいいえだろうが、仮説が正しければこちらの提示した答えを言うんだよ」
「……何となく分かった、気がする」
形のいい眉をきゅっと寄せて眉間にしわを作りながら、Aはここまでの流れを何とかぼんやり理解した。
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ハナミズキ - キルアが出てこなかった。。。。。 (4月4日 21時) (レス) @page24 id: 9174215e87 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - あけましておめでとうございます! (1月10日 17時) (レス) @page24 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - 続きはもう無いのですね... (2023年4月19日 12時) (レス) @page24 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
レイカ(プロフ) - 続きは書かないのでしょうか? (2020年4月13日 2時) (レス) id: 2f295bf970 (このIDを非表示/違反報告)
無題 - そうだったんですか…。残念ですけど、今まで楽しく面白い作品をありがとうございました!!貴方の作品、大大大好きでした。くらげ様の新しい作品、とても楽しみにしています。本当にありがとうございました!! (2019年5月11日 6時) (レス) id: 9aad1e7bf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2018年10月13日 20時