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「死なないようにするにはどうしたらいいか考えてて、お父さん、前にわたしのオーラの量はすごく多いって言ってたでしょ?」
「そうだな。お前のオーラ総量には目を見張るものがある」
「それを活かせないかなって考えて……それでね、あのね?怒らないで聞いてね、お父さん。
わたし、寝る前にこの能力のことを考えてたの。こんな風にできたらいいな、とか、こういう感じにしたいな、とか。
そしたら、その……で、できちゃってたの」
できちゃっていた。主語が抜け落ちた動詞だが、文脈を見ればすぐに分かる。
彼女はこう言いたいのだろう。「本当は相談してから作ろうと思っていた能力を、無意識に完成させてしまいました」と。
「……何?」
「わ、わざとじゃないんだよ!ただね、ずっとそればっかり考えてたから、自然にできちゃっただけなの……!」
あり得ない話ではない。ごく稀なケースではあるが、念の存在を知らないままに“発”だけを習得する人間もいる。それに比べたらまだ現実的な話だ。
だが、まさか娘にその現象が起こるとは思わず、シルバはつい数段低い声で疑問符を発してしまった。
聞いたこともない父の声色に、Aは怒られるものと勘違いして慌てて弁解を重ねる。
そして、懐から何かを取り出してシルバの目の前に突きつけた。
ぴょこんと長い耳。初めての水見式で発現した色と同じ、薄ピンクの体毛。真っ赤な瞳がくりくりとシルバを見つめている。
「うさぎ……?」
実に珍しいことにぽかんとした調子でシルバが呟いた通り、Aの手に抱えられたものは小さなうさぎだった。
ひくひくと鼻先が動いている。一見するとただのうさぎだが、先の会話の流れからそうでないことは明白である。
「これがお前の能力なのか」
「う、うん……この子、わたしのオーラでできてるんだ」
“凝”で見てみると、なるほど、確かに普通の動物にはできないはずの“纒”の状態になっている。
ゾルディック家では、動物実験の際にうさぎをよく利用する。
Aは可愛いからとしばしばうさぎ達と遊んでいたから、具現化ためのイメージは十分であろう。
それでも放出系の対極に位置する系統だ。何かしら制約があるに違いない。Aの解説の続きを待った。
「わたしのオーラが満タンの時に、まずうさぎの形ができて、ちょっとずつオーラを貯めていけるんだ。最大で、わたしのオーラ総量の八十パーセントくらいを貯められると思う」
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くらげ(プロフ) - リメさん» 初めまして、閲覧ありがとうございます。小説を書くのは初めてなので、そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります! (2018年9月19日 21時) (レス) id: 0096635b43 (このIDを非表示/違反報告)
リメ(プロフ) - 初めまして!とっっても面白いです!!くらげさんの文の書き方がどストライクすぎてすいすい読んでしまいました( *˙˙*) 更新頑張って下さい! (2018年9月19日 21時) (レス) id: d23165a5ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2018年9月2日 4時