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「今日はお前に、“念”を教える」


イルミとAに二人だけの秘密ができてから、半年ほど。
互いに信頼に足りうる確かな愛情の証明を終え、最早二人が恐れるものはなくなった。
だからイルミは、闘技場で得た経験通り修行方法の改善を申し出たし、事実一つ所に注力した方がAの学習度は高くなったので、二人は別々のことをする機会が増えた。

そんな風に日々の稽古が変質したので、十歳の誕生日の翌日、Aだけが修行部屋に呼び出されても二人とも何も疑問を抱かなかった。

聞き慣れない単語に首を傾げるAの前で、シルバは“練”をしてみせた。
稚気ほどの殺意を込めた多量のオーラに、存在すら知らぬはずのAは敏感に反応し、瞬時に臨戦態勢を取った。シルバの教育の甲斐があったといえるいい反応だ。


「感じたか?これがオーラといって、精神エネルギーのようなものだ。これを自在に操れるようになるだけで、常人を遥かに超越した力を手に入れられる」

「お父さんがすっごく強いのも、そのネンっていうのを使えるから?」

「お前達を相手にしている時は使っていないが、まあそうだな。念は奥が深い技術だから、一概にそれと言えるものでもない」


強さに対して貪欲な彼女は、シルバの予想通り念に興味津々な様子であった。


「A。ハンター試験を受けたいと言っていたな」

「え?うん、受けたいけど……」

「念を修めることができたら、受けに行っても構わない」

「本当!?」


更にモチベーションを上げるため、シルバは分かりやすい餌を与えた。
ネテロに遭遇するとは予想外だったが、ハンター試験は事実いい刺激にもなる。
闘技場で鍛錬を積み、想像以上の成長をみせたAならば、条件次第では受験させてもいいと思えたのだ。

彼女を猫可愛がりしているキキョウのためにも、まず第一に死のリスクを下げなくてはならない。
それに最適な技術が念だった。
元々、折を見て教えようと思っていたので、十歳を節目として念の特訓も始めることにした。


「ねえっ、どうやったらネンが使えるようになるの?何か特別なことをしなきゃいけない?」

「まず、オーラの存在を知る必要がある。そのために基礎知識を教えよう」


念を覚えさせるにあたり、シルバは外法を選択しなかった。
時間は十分にあるし、オーラを察知できるとはいえ本人に素質があるかは分からない。リスクを下げるための修行でハイリスクな方法をとっては本末転倒だ。

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くらげ(プロフ) - リメさん» 初めまして、閲覧ありがとうございます。小説を書くのは初めてなので、そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります! (2018年9月19日 21時) (レス) id: 0096635b43 (このIDを非表示/違反報告)
リメ(プロフ) - 初めまして!とっっても面白いです!!くらげさんの文の書き方がどストライクすぎてすいすい読んでしまいました( *˙˙*) 更新頑張って下さい! (2018年9月19日 21時) (レス) id: d23165a5ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらげ | 作成日時:2018年9月2日 4時

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