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「あやつが乳飲み子の頃からの付き合いじゃわい。そうかそうか、お主達がのう」
「ちのみご?」
「ゼノの奴が赤ん坊の頃からじゃ」
「……ネテロさん、今何歳?」
「ナイショじゃよ」
イルミもAも全く知らないことであったが、聞く限りではハンター協会とゾルディック家はいわゆる蜜月の関係にあるようだ。
犯罪者を捕らえるハンターもいる中で、流石に世界随一の暗殺一家と事を荒立てるのは得策ではないと一計を講じたのか、あるいは何か他の意図があったのか。
現在二人に知る術はないし、帰ってから聞いてもはぐらかされて終わりだろう。イルミは深く考えるのをやめた。
Aはネテロの歳の方が気になって仕方がないらしい。指折りで計算しようとして、あまりに桁の大きな数に負けていた。
「ネテロさんはすっごいおじいさんなんだね。……でも、なんでここにいるの?ハンターのお仕事は?」
「これも仕事での、今年開催されるバトルオリンピアにお客さんとして招かれておる故下見に来たんじゃ。見たことはあるかね?」
「なーい。イルくんは?」
「少しだけ」
「ワシはずっと前に殿堂入りしてから、開催の挨拶やら何やらを任されるようになってのお。ま、用意された台本を読むだけの簡単な仕事じゃよ」
「ふうん……」
殿堂入りということは、全世界から集まった猛者を何度も下し、名実ともに格闘の頂点に君臨したことになる。
イルミは戦いに快楽を見出す性格ではないからただ感心しただけだが、横に座る姉は違った。
彼女とて戦闘狂の類ではない。しかしその目には、明らかに先ほどまでとは異なる危険な色が宿っていた。
殺せるか、殺せないか。圧倒的強者たるネテロを前にして、この少女は不遜にも値踏みしている。
それにネテロも気がついた。しかし気を悪くした様子はなく、むしろ慈悲すら含んだ笑みでもって真っ向から臨んだ。
「随分怖い顔をしておるが、どうじゃ。ワシとちょっと遊ばんかね、お嬢ちゃん」
「……遊び?遊ぶの?」
「うむ。ボール取りゲームでもしようじゃないか」
そう言ってネテロは立ち上がり、部屋の隅に転がっていたゴムボールを取り上げた。何の変哲も無いおもちゃに見える。
「二百階クラスは空いているリングもある。適当な場所を借りて、一緒に遊ばんか。何、ただの老人の戯れと思ってくれてよいぞ」
指先でボールを回すネテロをしばし凝視していたAは、イルミを一瞥してから「いいよ」と返事をした。
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くらげ(プロフ) - リメさん» 初めまして、閲覧ありがとうございます。小説を書くのは初めてなので、そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります! (2018年9月19日 21時) (レス) id: 0096635b43 (このIDを非表示/違反報告)
リメ(プロフ) - 初めまして!とっっても面白いです!!くらげさんの文の書き方がどストライクすぎてすいすい読んでしまいました( *˙˙*) 更新頑張って下さい! (2018年9月19日 21時) (レス) id: d23165a5ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2018年9月2日 4時