【ヒロアカ】必要としてくれたのは、ヒーローではなく (ページ8)

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「ここがお前の部屋だ。自由に使え」

屋敷を案内され行き着いた部屋。見ると普通の広さで、奥にベッドとテーブルが置いてあった。

「それと、お前の個性についてだが」

オーバーホールさんが私を見た。

「相手の視界から完全に自分の姿をカムフラージュできるそうだな」

『え、あ、はい』

「詳しい説明を頼む」

『私の個性はステルスと言って、まずその名の通りレーダーやセンサー、監視カメラといった、光学的にしか物を捉えることのできない機械の目を誤魔化すことができます』

「実体がなくなるわけじゃないんですかい？」

横からクロノさんがもっともな質問をしてきた。

『幽霊になるわけじゃないので触れることはできます』

「自分以外の人間にもお前の個性は効くという話だったが」

いや待て、私まだこの人たちに自分の個性話してなかったよね？何でこんなに私の個性知ってるんだろう…？
怖すぎるでしょ。

『えー、はい、"私の身体の一部が相手に触れている間"なら、その人も私と同じように透明になることができます』

_______ﾋﾟｼｯ

空気が固まる音がした。
ｼﾝ…と辺りが一瞬にして静まる。

…………え？何？

「触れている、間…？」

オーバーホールさんがそう呟き、ふらっと後ろによろめいた。

「しっかりしてくだせぇオーバーホール」

『ど、したんですか？』

何かまずいことを言ったのだろうか。

ドクンと心臓が跳ね上がる。

…もし、もしもこの人にとって私の個性が都合の悪いものであったなら、

追い出されてしまう？

つまりそれは、

___必要とされなくなる？

_____それは、嫌だ。
やめてくれ。
折角私を必要としてくれた人なのに。

初めてなんだ。
今までの人生の中で必要だなんて言われたのは。

お願いだから、突き放さないで。

これ以上私を否定しないで___

「？アンタ、どうしたんですか、顔色がわる

「______慣らす」

オーバーホール…？」

余程血の気が引いた青い顔をしていたのだろう。クロノさんが声をかけてきた。

そしてそんなクロノさんの言葉を遮ったのは、オーバーホールさんだった。

彼はある種の覚悟を決めたような顔をしていた。

「緊急事態の時お前の個性は役に立つ。
…こちらの都合で、全くの一般人であるお前を連れてきた責任において、俺も腹をくくる」

さっきから何を言ってるんだろう。
まるで私に触られてほしくないみたいな……

「……あー、A譲。

オーバーホールは……極度の潔癖症なんです」