【死柄木弔】Plus Ultra (ページ5)

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4人目ページ5

_____…

『あーやっとサッパリした………しかし奴のセクハラはどうにかならんのかね』

ドライヤーで髪の毛を乾かしながらぼやく。いつからだろう。アイツにセクハラを受けるようになったのは…。確か酒飲んで酔ったアイツが私の胸揉んだのが始まりだ。その時は流石に顔面をグーで殴ってやったのだが、何故か迷惑なことにセクハラはそれ以降毎日のようにされている。

ｶﾞﾁｬｯ

死柄木「おい…死ぬ……」

風呂から出て部屋の扉を開ければ転がっている成人男性。図的にすごく面白い。

『………』ｶｼｬｯ

死柄木「撮ってんじゃねぇクソアマｧ」

『インスタ映え狙うわ。てかそのクソアマにセクハラしてる暇あったらさっさとオールマイト殺してくんね？』

その言葉と同時に腕を上げて横に振る。

これで死柄木にのしかかっていた重力は消えた筈だ。

しかしピクリとも動かない。

『おーい』

クソ邪魔なんだけど？

続けてそう言おうとしたらそのカサカサの唇が微かに動いた。

『え？何？』

プルプルと小刻みに震えながら彼は確かに言っていた。

死柄木「地球の……丁度いい重力…万歳」

コイツはもうダメなようだ。

ヒョイッとその細い体を背中に担ぎ、心優しい私は死柄木の部屋のベッドに放り投げる。

『じゃおやすみ』

ﾊﾞﾀﾝ

・

死柄木「あいつ…いつか絶対ブチﾋﾟｰす」

・

やっと死柄木がいなくなった部屋に戻ると、風呂に入る前に窓を開けて換気しなかったことを激しく後悔した。鼻にツンとくる血の臭いが残っている。急いで窓を全開にする。冷たい風が部屋に舞い込んで、私の髪を拐った。

ﾊﾟﾗ……

『………』

窓から入ってきた風のせいか、壁に貼られていた写真が１枚床に落ちた。

写真と一緒に落ちた画鋲を拾い、再び壁に貼り付ける。

『……』

それは平和の象徴、オールマイトの写真。

屈託のない、眩しくて、輝かしくて、実に醜い顔だ。

私の憎悪の対象。そして倒すべき敵だ。

歯を食い縛り、怒りに任せて壁を殴る。

何が平和の象徴。何が栄誉。何がヒーロー。そうやってお前は人々から羨望と信頼の眼差しを受けながら救えなかった人間のことを隠し、まるで全てなかったかのように笑うんだ。

『あとはお前だけだ。オールマイト』

黒いマジックペンでオールマイトの写真の横に貼り付けてあるクソヒーローの写真に大きくバツをつける。その横に6枚、同じようにヒーローの顔写真が並んでおり、もれなく大きなバツが書かれていた。

白い電灯に照らされた少女の顔は、醜く笑顔に歪んでいた。