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小さく息を吸って、目深に被ったフードの奥から不思議そうに此方を見下ろす瞳を見つめ返した。
『昨日の言葉…どういう意味だったんですか』
「…」
少し思案したような顔付きの後、「あれか」と彼はニヤリと此方を見下ろす。
その不気味とも形容できる笑顔に、ほんの少しだけ寒気を覚えた。
「………"嫌でも慣れるようにしたるから"
ってやつやろ？」
『それです』
朝一番に思い出した彼の台詞の1つだ。
あれがどうにも気になって仕方がない。
別に、彼がその場しのぎの一言として吐いたものならそれで良し。だがもしも何かしらの意味を内包した言葉だったのなら______
このまま放っておくには、些か気持ちが悪い。
「…」
『何ですか…？』
ゾムさんは一歩此方に近付いてくる。元々私と彼の立つ位置はそこまで離れていなくて、体躯の大きな彼がその長い脚で一歩踏み出す、それだけの事で私達の距離はかなり縮まる。
それに加え、彼が突然ずいっと顔を近付けてくるもんだから、思わず警戒心を抱いた。
『ちょっと…！ち、近い…』
私の頬に大きな掌を荒っぽく添えて…今朝の鬱さんのこともあり、その時点でかなり危機感を覚え彼の手を払いのけようとしたものの、残念ながら成功には至らず、
軽いリップ音と共に、頬には柔らかく何だか湿った感触…。
追憶しなくとも分かる。
…キスされたのだ。
昨日と合わせれば、これで２回目。
いや、昨日のやつは私の信用を得ようとしたから、だった筈だ。
なら今のは？
如何な理由で？キスをしたのだ？
________そこではっと思い至る。
"嫌でも慣れるようにしたる"
その言葉の意味は？という私の問い掛けの後、彼は何も言わず私にキスをした。つまり、「キスをした」それ自体が私の質問の答えに違いなく。
つまり…
『な、に考えてんですか…！
私の"仲良くなれるといいですね"の後の言葉の真意がそれとか、もう二度とあんたの顔見たくないです！』
…折角初めて友人が出来ると密かに胸踊らせた結果がこれか。
「そんな怒らんといてやぁ」
『これが怒らずにいられるか。
"襲われるのに慣れとけ"だと？馬鹿にするな！』
「んふふ、やあっと敬語外れたなぁ。その堅苦しい感じずっと嫌やってん俺」
「…大体俺、
"襲われるのに慣れとけ"とは一言も言っとらんのやけど」
………
…？
『言ったも同然だ』
あんなタイミングでキスをされたら
「いや、ちゃうんや、そうじゃないんや」
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お月様 - 滅茶苦茶おもろかったです！待ってたけどようやく27話でロボロさんの所出た！続編おめでとうございます！ (2021年1月2日 17時) (
レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
セツナ - 火ぃつけろ火ぃぃぃぃ！！！wwww腹筋バキバキになったんですけど腹筋返して（）神様お疲れ様です！ (2020年5月26日 21時) (レス) id: 274ac26baa (このIDを非表示/違反報告)
しゃち - 43の最初にある有限実行の“限”は“言”ではないでしょうか？勘違いでしたら申し訳ございません。ラットさんの作品大好きです！ (2020年4月16日 13時) (レス) id: 6540cc437a (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - うますぎませんか！？画力をわけて！！更新頑張ってください！！応援してます！！ (2020年4月3日 23時) (レス) id: 5db7ec7919 (このIDを非表示/違反報告)
楓@卍教 - 絵も文もうまいだと…？神…？いや天才…？(錯乱)まじで好きです応援してます (2020年3月21日 15時) (レス) id: 84c734c3e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年11月16日 21時
