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"私に信用してもらう術がない"
ゾムさんは酷く後悔するように表情を歪め、パーカーのフードを目深に被った。
その言葉はまるで己に向けた刃のように自虐的な響きを持っていて。彼はポツリとそう呟いて、そして…
何か閃いたように、突然に表情を明るくさせた。
「______なら、こういうのええんちゃうか」
ぐい、と大きな掌に手首を掴まれて、そのままゾムさんの方へ引き寄せられる。
あまりにも唐突な出来事に驚き、思わず目を瞑る私の頬に触れた、温かな体温、柔らかい感触。
『…え』
これは
「…なぁ、自分が危険視しとる女に
キスなんてすると思うか？」
呆けた表情の私に笑いかける彼。
…き、す、
『！？』
「俺の警戒心の高さ、昨日の事であんたも身を以て知っとるやろ？」
「んで、あんたが心配しとるのは、この環境に慣れて油断した瞬間に俺に殺される…とか、その辺か？それしかないもんな。
で、あんた今最高に無防備な状態やけど、何で俺、あんたを殺さないんやろうな？」
『あ…』
何それ…
_____貴方の言う通り、私が最初から"殺すつもりで"総統サマを助けたっていうんなら、
何故当の私は、総統サマを"殺さずに"貴方達の元へ帰したんです？_____
『……私の言い回し』
______昨日私が言ったこと、そっくりそのまま返されてしまった。
恥ずかしい。
昨日のゾムさんと、全く同じ疑い方をしていたなんて。それに気付きもせず、彼を酷く疑ってしまった。
『……ごめんなさい』
「…分かってくれたらええんよ」
ぱっと手を解放され、私は一歩ゾムさんから身体を離した。どうにも彼と目を合わせにくくて、行き場のない視線を地面に落とす。
「言うて、俺もあんたも、お互いのことまだ何も知らん。
…それでも、俺にとってあんたはもう"得体の知れない危険な殺し屋"じゃない。グルさん助けてくれた大事な人やと思っとるから、だから
ちょっとずつでええから、仲良くなっていければなぁとか…思っとるよ」
『…』
大の大人が、まるで子供みたいな事を言う。
でも、…それを馬鹿にする気は起きなくて。
「歩こか。部屋まで行かんとなんやから」
再び歩を進めるゾムさんの背中を追い掛ける。
その大きな背中に、言葉を放った。
『なら、仲良く…なれるといいですね』
「…おん」
まるで他人事みたいな言い方しかできない私は、素直じゃない。
「まぁ安心しとき、嫌でも慣れるようにしたるから」
『…？』
怪しげな笑みに意味を見出だすことは、その日最後まで叶わなかった。
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お月様 - 滅茶苦茶おもろかったです！待ってたけどようやく27話でロボロさんの所出た！続編おめでとうございます！ (2021年1月2日 17時) (
レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
セツナ - 火ぃつけろ火ぃぃぃぃ！！！wwww腹筋バキバキになったんですけど腹筋返して（）神様お疲れ様です！ (2020年5月26日 21時) (レス) id: 274ac26baa (このIDを非表示/違反報告)
しゃち - 43の最初にある有限実行の“限”は“言”ではないでしょうか？勘違いでしたら申し訳ございません。ラットさんの作品大好きです！ (2020年4月16日 13時) (レス) id: 6540cc437a (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - うますぎませんか！？画力をわけて！！更新頑張ってください！！応援してます！！ (2020年4月3日 23時) (レス) id: 5db7ec7919 (このIDを非表示/違反報告)
楓@卍教 - 絵も文もうまいだと…？神…？いや天才…？(錯乱)まじで好きです応援してます (2020年3月21日 15時) (レス) id: 84c734c3e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年11月16日 21時
