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「______あぁ、分かった、急な用事で悪かったな。仕事続けてくれ」
部屋の隅で小さな電子音が鳴り、トントンさんが赤いマフラーを靡かせ此方に近付いてきた。
その右手にはインカムが握られていて、成る程、先程の電子音はあれが立てたらしいと、私は納得する。
「今メイド長から連絡あったんやけど、あんたの部屋出来たらしいで」
『そうですか、…どうもありがとうございます』
自然な動作として頭を下げると、彼はやめてくれとでも言うように手を振った。
「ええよ、頭なんか下げんといて。あんたに此処に住め言うてるの、内の総統なんやから。
…俺達があんたに礼言う理由はあっても、あんたが此方に頭下げる道理なんかないんよ」
『いやしかし』
どんな経緯があるにしろ、私は世話になる立場なのだから、
と言おうとした。
________"言おうとした"ということは、実際には出来なかったという意味だ。
「話終わったか」
後ろから飛び付くようにして抱き締めてきたゾムさんのその勢いで、肺の空気が全て外に吐き出されたから。
『ぐふっ』
間抜けな声と共に前傾姿勢になるが、向き合っていたトントンさんの手により身体を支えられる。危なかった…
「あっぶねぇ…ゾムあかんやろ！怪我させたらどないするん！」
「ん…あぁ悪かったな、トントン、それよりこいつの部屋何処や、教えろ」
「…ゾムに教えるとろくでもないことになりそうやな…まぁ今教えなくてもいつか知られるし、んな無駄なことせんけど…Aさん気を付けてな」
『え、』
気を付けなければいけない程の危険人物なのだろうか。
「南の棟、最上階の一番奥や」
「じゃあ俺が送る。ほな行くで」
強引に手を引かれ部屋を出、私達は無言で廊下を歩き続ける。
『ゾムさん』
「ん？何や」
『本当にいいんですか』
「何がや」
『ここに私がいること、
…貴方、本当に納得していますか』
ﾋﾟﾀﾘと足を止める彼。そして振り向いた。
「…何でや」
『貴方の胸の内に、私に対する黒い感情がまだ蜷局を巻いているのではないかと、私はただ疑問を抱かざるを得ないだけです。
いくら今日私のことを手放しで歓迎してくれたとしても、貴方が昨日私に凶器を向けた事実は覆らない』
「…」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた彼は、
「________参ったな…
……それ言われたら、俺何て言っていいか分からん。
昨日あんたを疑ってナイフ向けたのも事実やし、今あんたに悪感情抱いてないのも事実や」
「…ただ、俺があんたを信用してる事を、あんたに信用してもらう術が無いわ」
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お月様 - 滅茶苦茶おもろかったです！待ってたけどようやく27話でロボロさんの所出た！続編おめでとうございます！ (2021年1月2日 17時) (
レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
セツナ - 火ぃつけろ火ぃぃぃぃ！！！wwww腹筋バキバキになったんですけど腹筋返して（）神様お疲れ様です！ (2020年5月26日 21時) (レス) id: 274ac26baa (このIDを非表示/違反報告)
しゃち - 43の最初にある有限実行の“限”は“言”ではないでしょうか？勘違いでしたら申し訳ございません。ラットさんの作品大好きです！ (2020年4月16日 13時) (レス) id: 6540cc437a (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - うますぎませんか！？画力をわけて！！更新頑張ってください！！応援してます！！ (2020年4月3日 23時) (レス) id: 5db7ec7919 (このIDを非表示/違反報告)
楓@卍教 - 絵も文もうまいだと…？神…？いや天才…？(錯乱)まじで好きです応援してます (2020年3月21日 15時) (レス) id: 84c734c3e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年11月16日 21時
