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『それはどうも』
「んふふ、ほな行くで」
手首を掴まれベッドから強引に引き摺り落とされたかと思えば、突然の浮遊感が身体を襲って、見れば私は横抱きにされていた。
『は、え、もうですか…！？
着替えてないのに、いや、せめて上着_____』
「舌噛むで」
『待っ』
この人聞く耳持たない…！
なんて思った矢先、彼は窓から飛び降りた。
いや、別に三階分の高さから飛び降りるのは私もよくやるから構わない。問題は、
『さむ…！？』
こちとらインナー１枚だぞ。寒いに決まってるのに…！
外気に肌を晒され、私の身体はものの数秒で震え出す。
…それと同時に驚いたのは、彼の人間離れした身体能力だ。
まず人一人抱えてこんなにも身軽に動けるなんて信じられない。その比較的細い身体の何処からそんな力が湧いて出るのか。
…などと考えている間にも、城はぐんぐん近付いてくる。
直後、激しい音と共に強い重力感。
見れば、私達が着地した場所は大理石で造られた城のバルコニーで、ゾムさんは硝子張りの扉を蹴飛ばし中に入る。
部屋は談話室のような内装で、十数人の男達…よく見れば幹部の面々だ。それに総統サマもいる…が各々好きなスペースで寛いでいた。
「グルさん、A連れて来た」
『ど、うも…』
________ゾムさんの腕の中で小刻みに震える私を見て、彼等は何を思っただろう。
「……
ーーーーーーッ！？」
何処からか声にならない悲鳴のようなものが上がって、総統サマはソファから立ち上がり大股で此方に近付いてくる。そして、ゾムさんの腕から私を奪い取った。
「何があった。何故そんな薄着なんだ」
と言いつつ、総統サマは椅子にかけてあった黒いコートを鷲掴みし、それを私の肩にかけてくれる。
彼の動揺っぷりに少し面食らいながらも、私はそのコートにくるまり、カーペットが敷かれた床に座り込んだ。
『ゾム、さんが…寝起きなのに…上着着せて、くれなくて、抱き抱えられて…』
寒さで切れ切れとなった言葉でも、彼には十分だった筈だ。
「…ゾム、暫くは書類仕事３倍だゾ」
「え」
「女性を薄着で外に連れ出し、挙げ句凍えさせておいてお咎め無しな訳がないだろう。ちゃんと謝れ」
「ちょ、そ、そんなことより今温かい飲み物持ってくるから！待ってて！めうっ」
トルコ帽を被った人が扉に頭をぶつけて、何やら可愛らしい悲鳴を上げる。
「火！！誰か誰でもええ火つけろ火ィィィィ！！！！」
と、凄まじい声量で絶叫するコネシマさん。
…混沌だ。
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お月様 - 滅茶苦茶おもろかったです！待ってたけどようやく27話でロボロさんの所出た！続編おめでとうございます！ (2021年1月2日 17時) (
レス) id: b347abc4d4 (このIDを非表示/違反報告)
セツナ - 火ぃつけろ火ぃぃぃぃ！！！wwww腹筋バキバキになったんですけど腹筋返して（）神様お疲れ様です！ (2020年5月26日 21時) (レス) id: 274ac26baa (このIDを非表示/違反報告)
しゃち - 43の最初にある有限実行の“限”は“言”ではないでしょうか？勘違いでしたら申し訳ございません。ラットさんの作品大好きです！ (2020年4月16日 13時) (レス) id: 6540cc437a (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - うますぎませんか！？画力をわけて！！更新頑張ってください！！応援してます！！ (2020年4月3日 23時) (レス) id: 5db7ec7919 (このIDを非表示/違反報告)
楓@卍教 - 絵も文もうまいだと…？神…？いや天才…？(錯乱)まじで好きです応援してます (2020年3月21日 15時) (レス) id: 84c734c3e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年11月16日 21時
