天才54 ページ5
『…エミさん、少し休んだらどうですか？』
昼の日差しが差し込む図書館カウンターの席で、エミさんは時折こくりこくりと首を揺らしながら、瞼を重くする眠気と格闘していた。
彼の目元には隈が浮かんでいる。昨日は寝ていないのだろう。私は書類を書くペンを止め、彼の方へ視線を向けた。
「…いえ、皆頑張っていますので。私ばかり休むわけにはいきませんよ」
それを聞いて、私はちょっと弱る。確かに血眼でスパイを探すとなれば睡眠時間が削られてしまっても仕方がないが、だからといって身体を壊してしまっては元も子もない。
せめて力になれればと、私は彼のためにハーブティーを淹れる。机に置くと、彼は弱々しい表情で「ありがとうございます」と礼を言った。
ｶﾞﾁｬ
扉が開いた音がしたのでそちらに目を向ける。そこにはトントン様とオスマン様が立っていた。
「お疲れめう〜」
『お疲れ様です』
「エーミール、ちょっと来てくれんか」
トントン様がエミさんを呼んだので、私は再び書類を片付けることにした。目が疲れたのか、視界が少しぼやける。目頭を押さえながら図書館の椅子に背中を預けると、ｷﾞｷﾞと嫌な金属音がした。
『あー…数学やりたい………』
・
「まずこれを見てほしいねん」
ロボロの声と共にモニターに映されのは、廊下を歩いているAさんの映像。手には書類を抱えている。俺はモニターの時刻を見た。昨日彼女が図書館に来た数分前だ。
しかし彼女は図書館への通路を歩いていたと思ったら、急に進路を変更し、直進するはずの廊下を右折した。
この時点で俺は、何かとてつもない嫌な予感を胸に抱いていた。
「見ての通り、何故かこの時Aちゃんは図書館への廊下は使わず遠回りのルートを取ってる。彼女は南東階段を下りて……」
そこでブツンと映像が途切れた。資料室前廊下の監視カメラのモニターもだ。
「ここで映像は終わり。そしてこのモニターが途切れた５分間の間に、書類とメモリは盗まれた」
俺は目を瞑り呼吸を整え、言葉にするのも不快なその台詞を仕方なく言う。
「…彼女がスパイって言いたいんか。
あの子は図書館に着いた後、３０分くらい俺と一緒にいたんやで」
トントンはゆらゆらと首を降る。オスマンも神妙な顔つきで固く目を瞑っていた。
「図書館に入る前に盗んだってことも考えられる。直接手は下していなくとも、内通者って可能性もあるで。資料室に立ち寄るのはエミさんくらいやから、足止めしたのかもしれん」
俺はバンッと机に掌を叩きつけた。
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暁 - あれ...grさんヤンデレ...？ (9月7日 17時) (
レス) @page38 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
紺 - マンちゃんの反応面白すぎる 天才90とか (2021年9月17日 22時) (レス) id: 194369b6a7 (このIDを非表示/違反報告)
かい - ラットさん、この小説大好きです！これからも無理をしないていどに頑張って下さい！これからも応援してます！ (2020年2月25日 13時) (レス) id: caec64c12b (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - Look What You Make Me Do 好きなんですが、どの辺りが似てる？んか気になります！ (2020年1月6日 2時) (レス) id: 83cb691048 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - しんぺい神さんが常識人に見えてくる…w (2019年6月6日 1時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年3月11日 0時
