天才82 ページ34
『これからどうしたものか…』
ゾムさんの言う通り、部屋に籠りっぱなしというのはいささか危険すぎる。かと言って、総統がどこにいるかも分からずに城内を回るのもな…
廊下の壁におっかかり一人悶々としていると、先の方から何やら話し声が聞こえた。
「あ、Aちゃんめう〜」
_______この声は…
『オスマン様…！』
「やっほー」
と、コネシマ様だ。
いつも通り穏和な笑みを浮かべたオスマン様を見て、露骨にホッとしてしまう。
私はすぐに2人の方へ駆け寄っていった。
「おっ、まだ鬼ごっこ中やんな？
グルさん、さっきアッチにいたで」
そう言ってコネシマ様が指差した方向は南側の廊下だ。
南の廊下…？さっき総統がいた所は真反対の廊下だったはずだが…
私は疑念を込めてコネシマ様をじっと見つめた。
『………本当ですか…？』
「え…何、俺そんなに信用ないん……？」
ショックを受けたような顔で彼は自分自身を指差した。廊下の隅っこにしゃがみこみ、「そーよねどうせ俺なんか…」と地面に悲哀を溢すコネシマ様の姿は、言っちゃ悪いが非常に滑稽だった。
「ほんとめう〜、嘘ついてないめうよ〜」
お花が飛んでいそうな彼の雰囲気に見事に呑まれ、「そ、ですか…」と私は妙に納得してしまう。流石外交官…いや、関係ないか。まぁオスマン様が言うなら本当だろう。
私は二人にお礼を言って、北へと走った。
・
______かなり走った筈だ。
一旦立ち止まり呼吸を整える。別棟まで来た私は周りを見渡した。人の気配はない。
二人によれば総統は南側の棟にいたらしいし、ここまで来れば見つからないだろう。
端末の電源をつけて時間を確認する。
あと10分か………
残り少ない制限時間と彼等の情報を足せば、もはや勝利は約束されたと言っても過言ではない。
安心して、一息ついた…………
それがいけなかった。
私は愚かなことに、最後の最後で油断してしまったのだ。
神経を研ぎ澄ませて周囲をよく観察していれば、きっと気付けた筈なのに。そして、何らかの行動を取れたに違いない。
だがもう遅い。
「安心するにはまだ早いんじゃないか？」
鼓膜を震わせたその"声"に、私は弾かれたように顔を上げた。
目前にある階段の踊り場、そこで私を見下ろす、血を垂れ流したような瞳の色。
「あと９分」
_______________嘘だ。
・
「…なぁオスマン、何で俺の"嘘"にノってくれたん？」
「ん？だって…
Aちゃんが首輪つけてんの見たいし」
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暁 - あれ...grさんヤンデレ...？ (9月7日 17時) (
レス) @page38 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
紺 - マンちゃんの反応面白すぎる 天才90とか (2021年9月17日 22時) (レス) id: 194369b6a7 (このIDを非表示/違反報告)
かい - ラットさん、この小説大好きです！これからも無理をしないていどに頑張って下さい！これからも応援してます！ (2020年2月25日 13時) (レス) id: caec64c12b (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - Look What You Make Me Do 好きなんですが、どの辺りが似てる？んか気になります！ (2020年1月6日 2時) (レス) id: 83cb691048 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - しんぺい神さんが常識人に見えてくる…w (2019年6月6日 1時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ラット
| 作成日時：2019年3月11日 0時
