薄れゆく記憶の中で【Sho.S/病】７

アクシデント ページ1

翔side


・


ライブ最終日。

昨日はそれなりに順調だった…と思う。


今日の札幌さえ終われば、また少し期間が空くからその間で気持ちを整えられる。

隣で眠るニノの寝顔を見て、心に誓った。


今日は良いステージにしよう、と。


◇


「…ええ、はい。そこにそれが来て……はい、そうです。でそこに───」


松潤がスタッフに微調整を行う。

俺らはただ、それを眺めていた。


「まだ違う場所でライブがあるっていっても、終わるとなると寂しいね」


ニノがそれとなく発した言葉を相葉さんが拾い上げた。


「そうだね…ま、最後だし頑張ろ？」
「……ん」


曖昧にニノが笑う。

俺にはそれが不思議に思えた。


「…翔ちゃん、体調だいじょーぶ？」


隣にいた大野さんが、唐突に話しかけてきた。


「うん、まあそれほどでも。あなたこそ」
「おれはまだまだ若いから」
「いや俺の方が年齢的には若いから！」


あはは、と気づいた頃には笑ってて、近くにいた二人が不思議そうに俺らを見ていた。


「あ、あ、聞こえる？入ってる？…じゃあ嵐さんメインステージ入って」


そんなときに松潤から指示が入り、数十メートル先のそこを目指す。


「なんか翔さん楽しそうですね」
「え、そう？」
「うん、よーしっ！今日も頑張ろうね！」
「相葉ちゃん気合い入りすぎじゃない？」

「みんなちょっと急いでー！少し変更あるからー！」


ゴール地点から松潤に呼びかけられ、俺たちは小走りで向かった。

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