short story

20□ほら、大勝利！2 ページ32

それは残念、そう言って俺の腕を掴んだ西田は
彼女に向かって俺の手を操って振らせる。
そんな行動に、彼女は驚いたように笑ってて
頑張って、なんて俺に口を動かした。

周りの騒がしさで彼女の声は聞こえないけど
それでも、真っ直ぐ俺のことを見てくれるから。






「…小野寺さんも意外とデレるんですね」

「え？」

「だって、めっちゃ嬉しそうっすよ」






わかりやすく表情に出てるのか、西田は笑った
だってしょうがない。好きなものは好きだし。

俺の攻撃が決まる毎に彼女を方を見れば
嬉しそうに笑う彼女がそこにはいて。

それだけでも俺のモチベーションを高めるのは容易い

その後の展開もブロックが決まったり
サービスエースも決まったり、関田さんが俺を上手く使ってくれたりで
3セット連続で獲得して勝利した。

みんなで仲良く記念撮影を終えた後
俺は急いで彼女らのもとに向かう。






「小野寺くん、お疲れ様」

「大活躍だったな！」

「ありがと」






わしゃわしゃと俺の頭を撫でる同級生と
それを見ながら笑ってくれるAに、何だか懐かしい気持ちになった
大学の頃はこうやって戯れてる俺たちをAがいつも見守ってくれてたっけ。



そう想うと心の中から今までの想いが全部溢れそうで




俺の視線を感じたAが、どうしたの？なんて首を傾げる

俺の気持ちを知ってる同級生たちは顔を見合わせて
俺ら先行ってるわ！なんて俺の肩をぽんっと叩いて行ってしまった




「……」

「小野寺くん？」

「あのさ、」









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