14□鼓動をからめて2 ページ30
「…なんか、誰かに吹き込まれた?」
「へ?」
「いつも話しかけてくれるのに、来ないから」
「ああ…いや、何も」
彼がゆっくり私に近寄ってくる
ボールを見つめながら、彼のすらっとした足が私の近くまで
「…俺がAのこと、好き、とか」
「な、」
私の反応を見て、恥ずかしそうに視線を落とす石川くん
やっぱり、なんて苦笑いしてて。
ふーっと、息を吐いた石川くんがまた私を見つめる。
「…嘘じゃないんだけど、」
「え、」
「自分で言えた方が良かったかな」
そう言って照れたように笑う彼がなんだか可愛らしくて
視線も、心も簡単に彼は奪っていく
「……俺、好きだよ。Aのこと」
「…!」
「人から聞かされた後じゃ何も意味ない気はするけど。本当のことではあるから」
でも、そう言葉を続ける石川くんは少し視線を落とす
「返事すぐに欲しいとかそんなんじゃないんだけど、話せないのはちょっとキツイ、かな」
「…っ」
「だから、普通に接してほしい」
彼の瞳が私を捉え続けるから
まるで魔法をかけられたみたいに、彼から視線を逸らせない
あまりにもキラキラ輝く彼が
到底私のことなんか、恋愛対象になんか見てないだろう
ずっとそう思ってた。
けど、どこか少し遠かった彼がいまは手を伸ばせばそこにいる。
ボールをカゴに戻しに行こうとする彼の腕をそっと掴む
驚いたように私を見る石川くんと
手が震えてしょうがない私
好き、その言葉が喉でつっかえて出てこない。
それでも、私の想いを感じ取ってくれたのか石川くんは笑ってて。
「それは、良い意味で捉えていいの?」
なんて、恥ずかしそうに笑うから。
その言葉にただ頷けば、また彼は精一杯の笑顔で応えてくれた
「……A」
「っ、」
「練習しよっか。一緒に」
「…うん」
鼓動をからめて
A、なんて彼の私を呼ぶ声が、堪らなく愛おしい
title.現実主義者
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noranekosan(プロフ) - リリさん» リリさんはじめまして。ありがとうございます!私もリリさんのお話読ませて頂いてたので嬉しいです。゚(っ゚´ω` ゚c)゚。今後も頑張って書いていくので、是非とも見ていってください!! (2019年11月12日 22時) (レス) id: e3a91e1b0b (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。のらねこさん(とお呼びしていいのでしょうか?)の書かれるお話どれも素敵なので、これからも楽しみにしています(*´˘`*) (2019年11月12日 16時) (レス) id: 3f90fe2b5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:as | 作成日時:2019年11月2日 2時