検索窓
今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:63,795 hit

14□震える唇、消えていく恋 ページ3

ただ足取りが重たかった。

昨日見てしまったあの光景が頭にこびりついて離れなくて。
…行かなきゃいけない、そう思いながら歩いてれば学校に着いた。





「おはよー」

「………」

「…A?」





後ろから声をかけられて誰かなんてすぐにわかるけど
どうしても後ろが振り向けなくて、その場を急いで立ち去った。
私の名前を呼ぶ彼に、今はどうしても会いたくなかった。




昨日の夜、バイトを終えての帰り道
見知った顔がそこにはあって、祐希、そう呼びかけたのも束の間
知らない女の子が祐希に抱きついて、そのまま仲良く歩いてるのが見えて…
手を繋いで、いつもの優しい笑顔をその子に向けてた。

その瞬間、全身から血の気が引くのがわかった。
頭を思いっきり殴られたみたいに、心臓が嫌に音を立てて
苦しくて、どうしようもなき気持ちでいっぱいになって…
ああ、こんなにも好きだったのか、なんて。

今更どうしようもなんかないのに。そんなのわかってるのに。
なんで彼女なんだろう、私はずっと彼の側にいたのになんて
自分にとって都合の良いことだけが頭を駆け巡った。






「…どした?顔色悪いけど」

「洸史、」

「え?なに?どした?」






彼の顔を見た瞬間、糸が切れたように涙が出てきて
慌てふためく洸史の姿がぼやぼやする世界に映った。

泣かせんなよー!なんて周りの声に俺じゃねえし!って否定しながら
彼は私の腕を掴んで、人がいない教室に連れて行ってくれた。

私が泣き止むまで、何も言わずに待っててくれる彼の優しさに涙は止まりそうにもなくて。
ずっと背中を撫でてくれる彼に、ようやく声を絞り出す。









14□震える唇、消えていく恋2→←11□雨の日ラプソディー2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (65 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
254人がお気に入り
設定タグ:全日本男子バレー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

noranekosan(プロフ) - リリさん» リリさんはじめまして。ありがとうございます!私もリリさんのお話読ませて頂いてたので嬉しいです。゚(っ゚´ω` ゚c)゚。今後も頑張って書いていくので、是非とも見ていってください!! (2019年11月12日 22時) (レス) id: e3a91e1b0b (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。のらねこさん(とお呼びしていいのでしょうか?)の書かれるお話どれも素敵なので、これからも楽しみにしています(*´˘`*) (2019年11月12日 16時) (レス) id: 3f90fe2b5d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:as | 作成日時:2019年11月2日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。