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8□帰る場所は君の隣2 ページ13

ギューっとこれでもかってぐらい抱きしめれば、Aの絞り出すような声が聞こえた。

そろそろ中入ろうよ。その言葉にようやく俺の足も動いて
見慣れた彼女の部屋に入り込んだ。
お風呂は入るよね?そう言って、彼女のクローゼットから俺の服が出てくる。
きちんと畳まれた服に、柔軟剤の香りがほのかにする。

お風呂もパパッと済ませ、時差ボケ起こしそうな感じになりつつもテレビを見てる彼女の横に座る。
そこには録画でもしたであろう邦画が流れてた。





「ねえ」

「ん?なに?」





Aを足の間に座らせて、後ろからギュッと抱きしめる。
まさ、くすぐったい。そう言う彼女にお構いなしに首元に顔を埋めれば
同じシャンプーの匂いが鼻をくすぐった。
どうしようもなく愛おしく感じてしまうのは
俺がこいつに盲目すぎるせいかもしれない。






「…あのさ、」

「ん?」

「……ドイツ来ない?」

「え?」





驚いた彼女の声が聞こえる。





「遠距離辛いし、Aがいないとか無理」

「どうしちゃったの。あんなに頑張るって言ってたのに」

「…見ないうちに可愛くなるし、俺から離れていきそうで嫌なだけ」

「…いなくなったりなんかしないよ?」




知らぬ間に染められた髪色とか、少し前より伸びた髪とか
俺の知らない間に彼女は少しずつ変化する。
隣で見てたあの頃は何も問題なかったけど
他の男に引っかかったりしないか、とか
どうしても過保護な部分が出てきてしまって
束縛は極力したくないけど、遠距離の関係が俺をそうさせるのかもしれない。

ポケットに忍ばせたそれを、彼女の手元に差し出す。






「これ、」

「結婚しよう。俺と一緒に暮らしてほしい」

「まさ、」






パカっと開いた四角い小さな入れ物には2人分の指輪が入ってて
それを見た瞬間、彼女の身体が少し震えた気がした。





「…A?」





横から顔を覗かせれば、愛しい彼女の目から涙が溢れてて
そっとその涙を拭えば自然と重なる視線。






「返事、聞かせてよ」

「っ、」







涙が溢れて、声に出すのもままならない彼女は一生懸命に首を縦に振る。




「俺と一緒にいてくれる?」

「うん、」

「愛してる」





そっと重なった唇は、少ししょっぱい味がして
目を真っ赤にしながら俺を見つめる彼女がただただ愛おしかった。







帰る場所は君の隣

俺はAじゃなきゃだめなんだ。これまでもこれからも。
俺が絶対に幸せにするから。一生隣にいてよ。

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noranekosan(プロフ) - リリさん» リリさんはじめまして。ありがとうございます!私もリリさんのお話読ませて頂いてたので嬉しいです。゚(っ゚´ω` ゚c)゚。今後も頑張って書いていくので、是非とも見ていってください!! (2019年11月12日 22時) (レス) id: e3a91e1b0b (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。のらねこさん(とお呼びしていいのでしょうか?)の書かれるお話どれも素敵なので、これからも楽しみにしています(*´˘`*) (2019年11月12日 16時) (レス) id: 3f90fe2b5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:as | 作成日時:2019年11月2日 2時

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