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11□恋、始めました2 ページ19

後ろで女子たちが、わぁ、なんて声をあげて。
その声に無性に恥ずかしくなる。
降ろしてよ、なんて私の声も有志に届いてないのか
ただ真剣な眼差しで前を向いてる彼の顔がそこにはあって何も言えなくなった。



授業中で静かな廊下を、有志の靴音だけが響く
私の心臓の音も聞こえてしまわないかただ不安で。






「まだ痛い?」

「…うん」

「もうすぐ着くから。着いたら寝かせてもらって、頭も冷やしてもらおう」







逞しい腕にまたぐっと力が篭る
有志が私のことを持ち直すから、また距離が近くなって。
有志の匂いに包まれてる気がして心臓の音が聞こえそうで…

保健室に先生はいなくて、呼んでくるから待ってて
私をベッドに降ろした有志がそういうから少し横になる。

静かな部屋で、ぼーっと天井を見つめる。

さっきの有志の顔がフラッシュバックした
心配そうに私を見つめる顔
気を付けろよ、そう言って怒った顔
なんか全部が初めて見たようなそんな感覚に襲われる

ガラ、扉が開いてその先を見つめれば
先生と有志が一緒に入ってくる姿を見えた。
大丈夫?そう言って保険の先生が私の頭を触りながら確認していく。
ちょっと冷やそうね、そう言って準備をしながら
有志に戻っていいよ、大丈夫だから。そう声をかけるけど有志の顔はまだ晴れなくて。
心配そうに見つめてくる有志の顔に居た堪れない気持ちになる。





「終わったら戻ってくる」

「え?いいのに、大丈夫だよ」

「俺が心配だから。ちゃんと寝てろよ」





ガラガラっと扉が閉められた。
その様子に先生が楽しそうな声を出す。





「Aさんって西田くんと付き合ってるんだっけ?」

「え?」

「え?違うの?」

「……付き合ってないですよ、」




自分で言ったのに、何故だかズキンと心臓が痛くなった。
有志はそんなんじゃない。ただ仲が良い男友達。
そのはずなのに。なんで、こんなにドキドキするんだろう。






「なんだ。付き合ってるのかと思った」

「…どうしてですか?」

「だって、西田くん慌てた様子で職員室来たから。ここまで来る途中もずーっと心配そうな顔してたし。きっとAさんが好きなのね」

「なっ…」





そう言って笑う先生にまたドキリと心臓が跳ねた。

さなぎが蝶になるように、友情と思っていたものはいつしか恋心になっていた。




title.永遠少年症候群

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noranekosan(プロフ) - リリさん» リリさんはじめまして。ありがとうございます!私もリリさんのお話読ませて頂いてたので嬉しいです。゚(っ゚´ω` ゚c)゚。今後も頑張って書いていくので、是非とも見ていってください!! (2019年11月12日 22時) (レス) id: e3a91e1b0b (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。のらねこさん(とお呼びしていいのでしょうか?)の書かれるお話どれも素敵なので、これからも楽しみにしています(*´˘`*) (2019年11月12日 16時) (レス) id: 3f90fe2b5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:as | 作成日時:2019年11月2日 2時

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