【ヒロアカ】お前…地味男じゃなかったのかよ……（震） (ページ33)

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さて、死柄木さんはもう着いているだろうか。

白いTシャツに黒いパンツ、いつも通りつけたピアスと上げた前髪。

そして手に持った財布には5000円が入っている。約束通り、死柄木さんにたけのこの里とパイの実をそれぞれ五個ずつ奢らなければならないからだ。

コンビニの自動ドアをくぐると、途端に冷たい空気に包まれる。いつも通り、お菓子コーナーへと歩を進めた。

『あれ…』

彼はまだ来ていないようだ。

仕方ない、自分のを先に選ぶとしよう。

アルフォートに手を伸ばしたその時、

『！』

何者かの腕が肩に回され、そのまま体重をかけられる。

「はぁ～～………」

長い溜め息と共に、不健康そうな肌色をした手がたけのこの里を手に取った。

「ったく…お前のせいでとんでもない目にあったよ…」

・

『人の金で食う菓子はさぞ旨いんでしょうね』

「あぁ、超旨い」

唇についたたけのこの里のクッキー部分のカスをぺろりと舐め、死柄木さんは満足気な表情を浮かべた。

いつも通りの時間、いつも通りの場所、ベンチに座る俺らもいつも通りだ。

「……で？お前、これからどうするわけ？俺はヴィラン、お前はヒーロー。何もなしに仲良しこよしはできないんじゃないか？」

『死柄木さんには手を出さない。でも守りはしない。情報を提供することはないし、そっちのことは探らない。もし俺が何か情報を得ても、それはヒーローに教えない』

『ただただ無関心でいるよ』

「…あっそ」

『てかてめェ！』

「あ？」

『俺あの脳無とかいうやつに右腕潰されたんだけど！？テラ痛かったわ！！』

「いやだから…」

『個性上治ったけど痛覚はあるんだからな！！』

「おい…」

『その上たけのこの里とパイの実５箱ずつとか、それでも大人かよ！』

「だからそれはごめんって言ってるだろうが…！！」

『………………？

言ってねーよ！！！』

謝られた覚えなんてなかった。

一通り暴言をぶつけあい、落ち着いた頃には時刻は4時半を回っていた。

俺はベンチの背もたれに背中を預け、ぐでーんと伸び空を見上げる。

『はぁー…軟骨ピアス…へそピも開けたい…でも倍痛いから怖い…』

「急に何だよ」

『黒髪…巨乳美女…たまらんですたい…』

「なぁ」

『たけのこの…天使…』

「…」ｽｯ

『ｻｯ

今割とガチで殺されかけた気がする』

無言で手を向けるのはやめよう。