【ヒロアカ】お前…地味男じゃなかったのかよ……（震） (ページ23)

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『死柄木さん…

俺もアンタがヴィランだったなんて聞いてないよ』

対峙する死柄木さんは相変わらず気だるげで、いつもと何ら変わりはなかった。

『てか何その手。ファッション？』

「うるさい」

さっきは息が苦しくなる程の恐怖を感じていたというのに、今死柄木さんと会話をしてもその感覚はない。まるでいつもの放課後みたいに。

つまりあの恐怖の原因、本質は彼ではなく別にあるということだ。

俺はそれを確認し内心ホッとする。

しかし彼は俺のことをどう思っているのだろうか。敵対関係であるヒーローの卵の俺のことを。

…俺は静かに口を開いた。

『……死柄木さん、俺は今アンタがヴィランだったってことに驚いてるし、混乱もしてる。

正直どうすればいいのかわからない』

「…」

『ヒーローの卵として、アンタを倒すべきだとは思う。

でも俺はアンタのこと好きだよ。

面白いし、甘党だし、何より派閥一緒だし。

…これからも仲良く、してほしいと思ってる』

「………

…マジでお前、変」

死柄木さんがこちらへ駆け出す。その細い手を伸ばしながら。

"俺の手には触れるなよ"

"死ぬから"

ふと彼の言葉が過る。あぁ、戦闘はやむを得ないということだ。

どうやら俺は、死柄木さんの友達にはなれなかったらしい___

ドンッ！

『っ』

結構容赦なく地面に叩きつけられた。殺されるのだと思った。

…でも違った。

さっきまで立っていた俺の頭があった位置に、大きな瓦礫が通過した。瓦礫が近くの地面と接触し、バラバラに崩れる。

どうやら他の皆は各々の場所にワープさせられたらしい。どうりでさっきからそこかしこで爆発音やら破壊音が聞こえる訳だ。それの破片が飛んできたのだろう。

「俺はな死齊、ヒーローが憎い。あぁ、そうだよ。俺はオールマイトが嫌いなんだ。

なぁ、俺はお前を利用するかもしれない。

それでも俺と仲良しこよししたいってか？」

俺の首にぐっと死柄木さんの指が食い込んでくる。

息が少し苦しいが、今はそんなのどうでもいい。

『うん』

俺は即答した。

そしてフッと笑う。

『…死柄木さんが俺を利用するかもしれない？俺が死柄木さんを利用する可能性は？

…またそんな怖い顔する。

何で俺が仲良くしたい人を利用するわけ？』

死柄木さんの赤い眼孔が俺を貫く。何もかも見透かされそうな瞳だ。

『利害関係にはなりたくない。俺らの間に壁があるのは確かだけどね』

そして俺は口を開く。提案を提示するために。