【ヒロアカ】お前…地味男じゃなかったのかよ……（震） (ページ28)

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気道に水が入りバカみたいに咳をしたせいで、頭がひどくボーッとしていた。故にその後のことはよく覚えていない。

オールマイトの腕に抱えられた気がする。

クラスメイトにたくさん名前を呼ばれた気がする。

扉の前にヒーローが大勢並んでいた気がする。

死柄木さんの咆哮を聞いた気がする。

皆の広い背中を見て自分の無力さを感じた気がする。

誰かの胸に抱かれていた気がする。

そういうもの全てが記憶の奥深くに沈んでいって、もしかして全部夢だったのではないかという錯覚に捕らわれた。

_____あの出来事が夢ではなかったことを知ったのは、病院のベッドの上だった。

「あの後、お前ずっと目ぇ覚まさなくてよ。すぐ病院に運ばれて、、緑谷とオールマイトと相澤先生と13号もこの病院にいる。別室だけどな」

綺麗な金髪が悲しげに揺れ、隣にいる濃緑の瞳も心配そうに俺を見つめている。

『そ、か。他の人は無事なんだ。

……良かった』

「お前、もっと自分の心配しろよ」

キッと上鳴が俺を睨み付けた。梅雨ちゃんも賛同するように「ケロッ」と声をあげる。

「そうよ死齊ちゃん、良い意味でも悪い意味でも１人で突っ走りだわ。もっと私たちを頼ってほしい」

『…ごめん』

「…俺はずっとヴィランと応戦…っていうか終盤は人質にされてたから実際に見てはねぇけどよ…その、お前あの脳無とかいう野郎に」

俺はフッと笑った。

『うん。右腕バッキバキにされた』

俺は右腕を上げる。無論、もう傷痕すら残っていない。

「お前も人質にされたんか」

『うん』

嘘だけど。

あ、そういえば死柄木さんどうなったんだろう。

『そういえばあのヴィランどうなった？白髪の』

「あぁ、逃げられた」

…顔には出さないが、内心ホッとした。

『そう』

「死齊ちゃん、私、死齊ちゃんに助けられたわ。…あなたは私の命の恩人よ。ありがとう」

『違うよ、相澤先生だ』

「いいえ、相澤先生にも感謝しなくちゃだけど、私を守ろうとしてくれたのが嬉しいの」

「…あ、そろっと先生来るじゃん？検査って何すんだろうな」

『さぁ。レントゲン？』

「さ、上鳴ちゃん帰りましょ」

「そうだな。

あ、そうだ死齊、オールマイトに助けられた後ずっと蛙吹が抱えててくれたんだぞ。ったく、羨ましいわー」

『え？マジ？道理で柔らかかったのか』

「死齊」

「死齊ちゃん」

『ごめんなさい』

「じゃ、明日絶対学校こいよ！」

『うん』