ブリュレ【Shota.W Ren.M】

26.Shota ページ26

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”キスマーク”

俺のその言葉に、Aの表情が歪み
その体温が、一気に上昇したのを感じた。



「これ……は、虫に刺されて………」

動揺して、無理な言い訳をする彼女に
思わず苦笑する。


翔「別にいいって。嘘つかなくても。」


いつの間に、こんな行為(コト)をするようになったのか。
そう思ったら、何故だか無性に
意地悪してやりたくなった。



翔「……ま、俺だったら
もっと見えない場所につけるけどな。」

そう言って、Aの首元に
唇が触れそうなほど顔を近づける。

そのまま、スカートから伸びるその細い太ももに
そっと手を這わせると、彼女の身体が
ゾクっと反応したのがわかる。



「………っ！」

すぐに驚いて飛び退いた彼女の顔が
羞恥と混乱で、美しく歪んでいた。



男が女にピアスを開けるなんて
なんていやらしい行為なんだろう。

俺に触れられる彼女の反応を見る度に
おまえの“初めて”を奪った男も
きっとこんな気持ちだったんだろうなんて考えるのは
俺が彼女をそういう目で見ている証拠なんだろうか。



翔「ほら、座れよ。
まだ片耳しか穴開いてねぇぞ。」


「………最低。」

小声でそう言い放ち
素直に元いた位置に彼女は座った。


どうしてだろう。

自分の中に渦巻くこの感情の正体が一体何なのか
自分でもわからない。

だけど、どんどん女になっていく幼馴染を前に
ふつふつと、自分の中に眠っていた欲望が
湧き上がっていくのは確かだった。




「あ………っ」

合図無しでピアッサーを入れた瞬間
彼女の唇から悲鳴が漏れた。

左耳を押さえながら
前に倒れ込み、右手を床につく。

その瞬間、ぞくりと身体中が粟立つのを感じた。



翔「………痛かった？」

「へ………いき。
びっくり、しただけ………。」

左耳を押さえていた彼女の手首を掴み
引き剥がすと
彼女が俺を見上げてきた。



翔「雑菌が入るから、あんまり触んな。
消毒するから、耳見せて。」

そう言うと、彼女は歪んだ表情のまま
目を伏せた。



「………翔太と一緒にいると
心が、ぐちゃぐちゃになる。」

震える声で、彼女が呟く。



翔「………それで？」

「どうして……こんな意地悪するの………？」

彼女の大きな瞳から
涙がこぼれ落ちる。




“どうして”

俺にだって、わからない。

ただ、ひとつだけ確かなのは
目の前にあるこの濡れた瞳を
甘い声を、柔らかい身体を、その心を
“めちゃくちゃにしてしまいたい”
そう感じていることだけだ。




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