ブリュレ【Shota.W Ren.M】

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「嘘………ほんとに？」


目黒君に見せられたのは
92点の数学のプリント。

蓮「俺の本気、ナメないでください。」

ニッと笑うその顔に、呆気に取られる。



「すごい………本当によく頑張ったね。」

本当にここまで取れるなんて思ってなくて
思わず感動してしまう。


蓮「良かった。喜んでくれて。」

いつもは割とクールで
淡々と喋る子だから
はにかむような笑顔が
なんだか新鮮だった。


「目黒君、そうやって笑った顔が1番可愛い。」

私の言葉に、彼はスッと真剣な表情になる。



蓮「Aさん、約束覚えてます？」

「………覚えてる。」

蓮「俺、無理矢理する気はないって言ったけど
約束チャラにした覚えもないんで。」

「や、ちょっと待って、目黒君。
さすがに付き合ってないのにチューは……。」

蓮「じゃあ、付き合えばいいじゃん。」



や、ちょっと待って。

これって、若さ故のやつ？
目黒君って、絶対女の子に不自由してないよね？


「大人をからかわないで。」

蓮「1個しか違わない。」

「そりゃそうだけど！」

蓮「俺、別に誰でもいいわけじゃないの。
Aさんが欲しいだけなの。
だから、今回のテストすごい頑張ったんだよ。
頑張って結果出せば、Aさんなら
絶対褒めてくれると思ったから。」

さらりとすごいことを言うなと思いながら
だけどそれは、きっと本心なんだろうなと
少し胸が痛む。



蓮「それに、俺をフるなんて
絶対もったいないよ。」

ニッと笑みを浮かべながら
真っ直ぐに私を見つめる彼は
真っ直ぐで、真っ直ぐ過ぎて
まるで、揺れる私の心を突き刺していくようだった。


蓮「絶対後悔させない。
Aさんのこと、毎日笑顔にする自信がある。
だから俺、Aさんの彼氏になりたい。」





今までの私だったら
迷わず断っていた気がする。

目黒君みたいに
周りに人が集まってくるようなタイプは
やっぱり少し苦手だったし
私とはあまりに違うから。

だけど。








「………いいよ。」

気づいたら、そう返事していた。



蓮「嘘………いいの？」

「うん。」

蓮「マジで……？夢みてぇ……………」


噛み締めるように、喜ぶ彼を見て
なんだか愛おしさを感じた。

こんな風に
自分の存在が誰かを喜ばせることが出来るって
なんて幸せなことなんだろう。




「よろしくね、彼氏。」

蓮「それ、あざとすぎない？」

そう言って、顔をクシャッとさせて笑う彼が
愛おしかった。

私、幸せになれる気がする。

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