＿＿＿＿４４ ページ44
.
そしてコース料理の一通りが出揃った後、火の灯るお皿を持って現れたウェイターさん。
『お待たせいたしました』
私の前に置かれていたのは『Happy Birthday』と書かれたバースデープレートだった。
「Aさん、この前誕生日だったでしょ？」
彼は「遅くなっちゃってごめんね」と眉を下げた。
「ううん、！すっごい嬉しい！」
「喜んでもらえて良かった」
「だからこんな綺麗なところに連れてきてくれたんだ。本当にありがとう」
感謝を伝えると、彼は柔らかく微笑んだ。
...
「美味しかった？」
「うん！ちょっと緊張しちゃったけど」
へへっと笑えば彼も柔らかい笑顔を浮かべる。
「今日ここに連れてきたのは二つ理由があってさ。Aさんの誕生日のお祝いをしたかったからってのが一つ。それからもう一つは、Aさんに渡したいものがあったから」
「渡したい物？」
「はい」と彼が差し出したのは、むぎちゃんの好きなプリンセスが描かれた可愛らしい封筒で。
「手紙？」
「そう、むぎからの手紙」
小さな封筒にはまだ拙い文字で書かれた私の名前。
Aおねえちゃん おたんじょうびおめでとう
いつもあそんでくれてありがとう
むぎは Aおねえちゃんのことがだいすきです
手紙を開ければ、愛しいくらいにガタついたまだ覚えたばかりであろうひらがなで一生懸命書かれた文章があって。それを目にしたら涙が出そうになる。
Aおねえちゃんのことがだいすきだから これからもずっとあそべたらいいな
あと Aおねえちゃんが むぎのママになってくれたらいいな
むぎちゃんが書いた言葉にピクリと体が揺れる。
そんな私を見てか、軽く咳払いをした彼が背筋を伸ばして真っ直ぐ私を見つめた。
驚いて顔を上げると優しい顔をしている彼。
目黒くんは、この手紙の内容を知ってるのかな、
それともむぎちゃんが勝手に書いただけ、？
上手く聞くことも出来ずに、私はまた下唇をきゅっと噛む。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3353人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cleam(プロフ) - あちゅ。さん» ありがとうございます....！実際に体験を....😳懐かしさまで感じていただけるなんて光栄です😭そして別作品にも興味を持ってくださりありがとうございます（ ; ; ）とっても嬉しいです（ ; ; ） (2021年12月25日 23時) (
レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - Yuiさん» ありがとうございます（ ; ; ）感情移入までしていただけるなんてとても嬉しいです（ ; ; ）待ち望んでくださる方がいてとても幸せです。残り数ページで短編を投稿することにしたので、最後まで楽しんでもらえたら幸いです。 (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - しぇるさん» しぇる様、初めてのコメントありがとうございます....！そして嬉しいお言葉をありがとうございます（ ; ; ）余力がなくて移行が出来そうにないので、短編だけ書かせていただくことになりました....！続編を希望してもらえて光栄です。ありがとうございます（ ; ; ） (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - saeさん» ありがとうございます（ ; ; ）他の読者様からも有難いことに続編希望のコメントを頂いておりまして、続きを書こうと思ったのですが移行するほどの余力もない為、残りの数ページで短編を書くことにしました....！楽しんでもらえたら嬉しいです。 (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ﾗ ｲ ｽさん» ありがとうございます（ ; ; ）きっとめぐろくんと生活を送ることが出来たら、支え合って凄く良い家庭になりそうですね☺️ (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cleam
| 作成日時：2021年11月13日 22時
