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「ねぇ、何でそっち座んの?」
私がいつも座る場所に勝手に座っているから、仕方なく何も敷かれていない床に座ると、不機嫌そうな顔で問う。
「何でって別に....」
「俺警戒されてる?」
「別にそういうつもりじゃないけど、」
「じゃあこっち座ってよ」
彼はポンッと自分の隣を叩いた。
渋々隣に腰かけると、彼は私の顔を覗き込む。
「なんかめっちゃ久しぶりだな〜この感じ」
くははっと笑いながら嬉しそうにする彼。
「ちょっと前まではずっと一緒にいたのにな」
「何感傷に浸ってんの?捨てたのそっちじゃん」
「ごめんって。あん時ちょっと浮かれてたわ。でも気付いたんだよ。Aいねぇとつまんねぇんだなって。またオムライス食いてぇなって何回も思ったんだよ?」
「....ふーん」
私の左手をするりと撫でながら、少しの間を置いた彼はもう一度私の顔を覗き込んだ。
「A、なんか綺麗になったね」
「そう?」
「うん。めっちゃ可愛い」
前までの私だったらこの言葉に舞い上がっていたと思う。でも今は....
彼の綺麗な指がするりと私の頬を撫でた。
「っ、」
「久しぶりにシない?」
「え....何言ってんの、」
「可愛くなったA、抱きたくなっちゃった」
気付いたら背中が床についていて、視界は彼でいっぱいになる。
「っ、待って、!」
「何で?」
「なんで、って、」
頭に過るのは目黒くんの顔。
彼を拒否する理由は、私には好きな人がいるから。
「いーじゃん。シよーよ」
「や、だっ、」
「うるせぇな....」
彼は慣れたようにブラウスを脱がせ、抵抗出来ないように腕を縛り上げる。
「ねぇやだ....お願い、」
「何?男出来た?」
「違うけど....」
「じゃあ何で拒否ってんの?もう俺のこと好きじゃねーの?」
そう問われても、もうあの時みたいな感情は湧かない。
「今更、」
「うん、そうだね。でも抱きたくなったんだからしょーがねーじゃん」
「要らないって言った、」
「今必要になった。だからもっかい戻ってきて」
気付いたら視界がゆらゆらと揺れている。
「あんま声出すなよ。ここ壁薄いんだから」彼の言葉と共に頬を流れた涙は少し冷たかった。
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cleam(プロフ) - あちゅ。さん» ありがとうございます....!実際に体験を....😳懐かしさまで感じていただけるなんて光栄です😭そして別作品にも興味を持ってくださりありがとうございます( ; ; )とっても嬉しいです( ; ; ) (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - Yuiさん» ありがとうございます( ; ; )感情移入までしていただけるなんてとても嬉しいです( ; ; )待ち望んでくださる方がいてとても幸せです。残り数ページで短編を投稿することにしたので、最後まで楽しんでもらえたら幸いです。 (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - しぇるさん» しぇる様、初めてのコメントありがとうございます....!そして嬉しいお言葉をありがとうございます( ; ; )余力がなくて移行が出来そうにないので、短編だけ書かせていただくことになりました....!続編を希望してもらえて光栄です。ありがとうございます( ; ; ) (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - saeさん» ありがとうございます( ; ; )他の読者様からも有難いことに続編希望のコメントを頂いておりまして、続きを書こうと思ったのですが移行するほどの余力もない為、残りの数ページで短編を書くことにしました....!楽しんでもらえたら嬉しいです。 (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ラ イ スさん» ありがとうございます( ; ; )きっとめぐろくんと生活を送ることが出来たら、支え合って凄く良い家庭になりそうですね☺️ (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cleam | 作成日時:2021年11月13日 22時