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「目黒くん、そんなに私のこと好き?」
結論:保ちませんでした。
緊張しすぎてハイペースでグラスを空けてしまった私は、気付いたら言わなくてもいいことを口走っていた。
僅かに残っていた正常な私が『まずい』と思った時には時既に遅し。
彼は真剣な表情で私と視線を交えていて。
「好きですよ」
また、息を吐くみたいに簡単に言ってのける。
大体こんな私のどこが良いというのだ。
休日は朝から晩まで部屋着で過ごすし、面倒臭い時はカップラーメンで済ますか丸一日食べないで過ごすくらいの超ズボラだし。
「Aさんみたいな人と一緒にいれたらきっと楽しいんだろうなって思うんすよ」
「そんなことないよ。私なんか貯金もないし、男見る目もないし。典型的な結婚出来ない女なんだから」
「私なんかなんて言わないでよ。俺はそういうとこも含めて可愛いなって思うんだから」
酔いが回って彼の言ったことが夢なのか現実なのかよく分からない。ただ、目黒くんの表情が凄く優しかったことだけは脳裏に焼きついていた。
...
朝、眩しすぎる日差しに目が眩んで体を起こすと、いつもとは違う何かに違和感を覚えた。
「..........ん?」
見覚えのある部屋。
でも、自分の部屋ではない。
「あ、起きた?」
低めの声が聞こえて振り返ると、そこには黒いエプロンをした目黒くんが立っていて。
「おはよ」
目が覚めたら自分の部屋ではなく目黒くんの部屋にいた。イマイチ状況が掴めない。
「えっと....?」
「Aさん鍵も出せないくらい潰れちゃったから俺の家で寝てもらったんすよ。『着替えさせて〜』って言ったの覚えてないんすか?」
「覚えて、ない、」
「まじ大変だったんすよ。可愛すぎて」
酔った勢いで何を甘えている.....!?と頭を抱えていると彼は意味深にケラケラと笑っていて。
「え、どっち!?嘘!?」
「さぁ?」
「ねぇやだ!教えてよ!」
「俺だけが知ってればよくないっすか?」
「良くない!」
必死で反抗すれば「本当可愛いっすね」なんて言いながらキッチンに戻っていく目黒くん。
枕元に一張羅が綺麗に畳まれていたのが視界に入った時、どちらが正解だったのかを理解して弾け飛びそうなくらい顔が熱くなった。
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cleam(プロフ) - あちゅ。さん» ありがとうございます....!実際に体験を....😳懐かしさまで感じていただけるなんて光栄です😭そして別作品にも興味を持ってくださりありがとうございます( ; ; )とっても嬉しいです( ; ; ) (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - Yuiさん» ありがとうございます( ; ; )感情移入までしていただけるなんてとても嬉しいです( ; ; )待ち望んでくださる方がいてとても幸せです。残り数ページで短編を投稿することにしたので、最後まで楽しんでもらえたら幸いです。 (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - しぇるさん» しぇる様、初めてのコメントありがとうございます....!そして嬉しいお言葉をありがとうございます( ; ; )余力がなくて移行が出来そうにないので、短編だけ書かせていただくことになりました....!続編を希望してもらえて光栄です。ありがとうございます( ; ; ) (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - saeさん» ありがとうございます( ; ; )他の読者様からも有難いことに続編希望のコメントを頂いておりまして、続きを書こうと思ったのですが移行するほどの余力もない為、残りの数ページで短編を書くことにしました....!楽しんでもらえたら嬉しいです。 (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - ラ イ スさん» ありがとうございます( ; ; )きっとめぐろくんと生活を送ることが出来たら、支え合って凄く良い家庭になりそうですね☺️ (2021年12月25日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cleam | 作成日時:2021年11月13日 22時